女性雇用就活生は「育休制度」の中身も押さえておこう サイボウズ、ダイキンは何がスゴイのか
就活生は内定を取ることに集中するあまり、入社後のキャリアプランについてあまり意識していないことが多いようです。そのため、いざ会社に入ると入社前のイメージとのギャップに悩み、早期に退職してしまうことがあります。とりわけ、結婚や妊娠・出産、育児といったライフステージの変化に伴い、キャリアダウン、もしくはキャリアの継続を諦めることが女性には少なくありません。
そこで、就活中に産休や育休、介護休暇などの実態や、従業員のサポート制度について、あらかじめ知っておくことが重要です。そのうえで就職先を絞っていくなら、「こうじゃなかった…」というミスマッチも回避でき、自分自身はもちろん企業にとってもハッピーです。
幸いなことに近年は、従業員のワークライフバランスを最優先に考えて多様なワークスタイルを想定、サポート制度を充実させる企業も増えています。ここでは、異なるアプローチで従業員の“働きかた”を支援する、2社の事例を紹介します。これらを通じて、就職先選び・入社後のキャリアプランをイメージしてください。
最長6年間の育児・介護休暇制度
グループウェア国内シェアトップを誇るサイボウズ。従業員数は連結ベースで約550人(2015年11月現在)。男女比は6:4と女性の割合が比較的高く、平均年齢が33.8歳ということもあり、ライフステージの変化に直面する女性社員は少なくありません。
そんなサイボウズは、ワークライフバランスに配慮した制度が充実していることで有名で、そのひとつが、2006年から導入した、「最長6年間の育児・介護休暇制度」。男女問わず、子どもが小学校入学時まで取得できます。
「いまから10年前、2005年に離職率が28%まで高まり、4人に1人が辞めるという状況になりました。そこで『社員にいかに自社で長く活躍してもらうか?』というテーマについて真剣に考え、様々なサポート制度を導入したのです。結果、離職率は4%台まで低下しています」と話すのは、事業支援本部人事部の青野誠マネージャー。
当時は、法定の範囲内での産休・育休だけで、女性にとって働きづらい職場だったようです。ところが、制度の後押しもあって女性は増え続け、2015年度の新卒入社は女性のほうが多くなりました。
「育児休暇制度の利用者は43名。現在も13名が使っています。各従業員で休暇期間は異なりますが、4年8カ月後に復職したのが最長です。1人で2回使ったケースもあります」(青野さん)。
保育所の確保は復職に当たっての大きな壁。待機児童の多さからもわかるように、見つけるのは困難を極めます。入園できなかったことで会社を辞めるケースも目立ちますが、サイボウズの場合は最長6年の休暇期間なので、焦らずじっくりと探すことができ、その間は育児にも専念できるといいます。
青野さんと同じく人事部勤務で、採用・研修担当の中澤智香さんもその一人。2010年10月に第一子の出産を機に産休・育休を取得、1年後には戻る予定だったが、保育所が見つからず期間延長を余儀なくされることに。さらにその間、第二子にも恵まれ12年6月に出産、13年4月に二児の保育園が決まり、同月末から復職することになりました。休暇制度を2年半取得したことになります。
「保育所が決まらず困りましたが、最長6年間取得できる安心感があったことは確か。二人目もできたので、子育てしつつ、二人一緒に保育園に入るタイミングで復職すればいいと考えました。制度も手伝い、落ち着いてライフプランを決めることができました」(中澤さん)
ライフスタイルに合わせて働き方を選択
サイボウズでは、ライフスタイルの変化に合わせて働きかたを選択できる「選択型人事制度」を2007年から採用しています。これは、育児、介護に限らず通学や健康など個人の事情に応じて、勤務時間や場所を9種類から選べるというもの。「オフィスで短時間勤務をしたい」「自宅など場所を縛られずに長時間働きたい」というように、社員のニーズに限りなく応えてくれる制度設計になっているようです。
「社員ひとりひとりの個性や置かれた状況は異なり、100人いれば100通りのプランがあっても良いはず。それを制度に落とし込みました」(青野さん)。中澤さんの場合、復帰面談で、上長、総務担当者と話し合い、ワークスタイルを決定。現在はオフィスで9時から17時まで勤務し、その後はお子さんを保育所に迎えにいくという毎日。「これからは子どもの成長に応じて、フレキシブルに選んでいけばいいと考えています」(青野さん)。
選択型人事制度以外にも、定められた時間や場所と異なる働き方を選択できる「ウルトラワーク」も3年前から実施。例えば、子どもが急に熱を出して出社できないなら、その日は在宅で働く、時差出勤をすることが認められます。
サイボウズでは、青野慶久社長をはじめ経営陣が率先して育児休暇を取得してきたことから、制度を利用しやすい雰囲気も整っているとか。いまでは出産で辞める社員はゼロ。女性社員比率4割にはこういったきめ細かい制度の充実があるようです。
次に紹介するのは、空調事業で世界シェアNo.1のダイキン工業です。1992年に育児休暇・育児勤務制度を導入するなど、女性の活躍推進に早くから取り組んできました。
「1992年度は女性社員全体のうち子どもを持つ女性の割合は6.6%でしたが、2014年度は35%にまで上昇しました。女性の勤続年数は2倍になり、平均年齢も26.7歳から34.5歳に延びるなど、目に見える効果を確認しています」とは、ダイバーシティ推進グループの今西亜裕美担当課長。
現在は全社員8144人のうち女性社員は15%の1211人。うち30代前半までの女性社員が648人いて、子どもがいない社員は519人と8割を占めています。これが意味するのは、今後、結婚や出産といったライフイベントを控える可能性のある女性が多いということです。
早期復職者を対象に手厚い制度
具体的な施策として取り組んでいるのは、子育て支援ではなく、就業継続を前提としたキャリア支援です。例えば、育児休暇は子どもが満1歳に達するまでで、やむを得ない事情がある場合は、最大6カ月あるいは満1歳の3月末まで延長可能とし、小学校卒業までは最大1時間の時差勤務、フレックス勤務、小学校1年生の年度末まで1日6時間の短時間勤務を認めています。
加えて積極的に進めているのは、出産した女性社員の早期復職です。同社では、子どもの病気や残業、出張時に利用したベビーシッターなど外部サービスの費用、別居する親に一定期間、自宅で子どもの面倒をみてもらう際の交通費などを、年間1人当たり20万円まで会社が補助する「育児支援カフェテリアプラン制度」を2007年度から提供しています。
そして、2012年度には生後11カ月未満で職場復帰した社員に対しては年間最大30万円に補助金を拡大、2014年度からは生後6カ月未満で復職した場合、年間最大60万円に増額、カフェテリアメニューに認可・認可外保育所の費用補助も追加しました。
さらに、仕事と育児といった両立生活へのソフトランディングを可能にするため、生後6カ月未満の早期復職の場合、復帰後1カ月間は4時間の短時間勤務、1歳到達前日までは1日6時間の短時間フレックス勤務といった、柔軟な勤務形態も取り入れています。
「最大の目的はキャリアブランクを長く作らないためです。育休から早く復帰したいという意欲のある社員を支援し、育児と両立しながら思い切って仕事にチャレンジできるようにしたいと考えています。2014年以降、費用補助、4時間勤務を各1人が取得しています」(今西さん)。
また、2013年度からは子どもを保育所に入れるための活動「保活」を専門家がサポートする「保活コンシェルジュ」も導入、妊娠時から保育所が決定するまでを個別支援しています。2014年度までに110名が活用したようです。
長内美鶴さんはキャリア12年の中堅社員。広報グループを経て、現在は東京・新宿にあるショールーム「ダイキンソリューションプラザ フーハ東京」に勤務しています。2013年5月にお子さんを産み、11カ月後に早期復職を果たしました。「当初は1カ月8万円の認可外保育所を利用したので、手厚い補助があり助かったことを覚えています」(長内さん)。
復職後には、社内で定期的に開催されている「育児休暇復帰者セミナー」へ、上司とともに参加。同じような立場の女性社員と情報交換をしたり、管理職と意見を交わしたりするなど、仕事と育児の両立に対して考えを共有・理解することができたといいます。「基本的な勤務時間は9時半から18時ですが、上司と相談のうえ、いまは30分前倒しの時差勤務にしています。おかげで、仕事が終わってから子どもを迎えに行くのにも間に合います」(長内さん)。
男性130名が2014年度に育休取得
子どもが体調を崩して出勤できないこともありますが、普段からメールや口頭で、自身の抱える仕事や状況を周りに伝えておくことで、チーム運営に支障をきたさないように注意も払っているとか。「柔軟な勤務制度もあり、うまく両立できていると実感しています。キャリア継続にも自信がつきました。主婦の悩みや課題に共感できるようになり、今後の製品やサービスに活かしたいと思います」(長内さん)。
このように、幅広い制度を背景に、早期復職、キャリア継続を支援しているのがダイキン工業です。男性にも育児休暇を奨励していて、2014年度は130名が取得、出産タイミングや、配偶者の職場復帰前に1週間利用するというケースがあったそうです。新たな勤務形態として「部分在宅勤務」も2014年度にトライアルで実施し、制度化に向けて検討していくとのことです。