「管理職候補」から女を閉め出す、3つの要素 本来は、女性こそ管理職に「向いている」!

女性雇用「管理職候補」から女を閉め出す、3つの要素 本来は、女性こそ管理職に「向いている」!

初めまして、女性活躍推進コンサルタントの清水レナです。これまで20年以上、女性のキャリア支援の活動を行ってきました。現在は法人向けに、女性活躍推進についての現状分析、計画策定、施策立案などのコンサルティング、経営へのアドバイス、教育研修などを行っております。

皆さんご存知の通り、先月「女性活躍推進法」が成立しました。今後ひとまず、301人以上の企業は2016年4月までに厚生労働省へ女性の活躍状況や行動計画書を提出しなければなりません。すでに「重荷だな……」と感じていらっしゃる経営者の方、けっこう多いのではないでしょうか?

そこで本コラムでは、「管理職に占める女性の割合を増やす」ためのヒントをお伝えしていきたいと思っていますが、難しく考える必要はありません。だってそもそも、女性は管理職に「向いている」のです!

「一つ部署の下」に多様な部下が集まる時代

まずは皆さん、考えてみてください。管理職の最も重要な仕事はなんでしょう? それは「部下の育成」。言うまでもありませんね。

人口減少下の日本です。今後男性だけで必要な労働力(社員数)を充足することが難しくなり、女性はもちろん、高齢者、外国人など、多様なプロフィールを持つ人間が「一つ部署の下」に共存することになります。

一方でビジネスはより複雑化、グローバル化し、そして変化や成長のスピードは加速するばかりです。つまりこれからの企業では、社員一人ひとりがいっそう高いパフォーマンスを発揮することが求められます。

すると、これからの管理職に最も必要なのは、性別、年齢、国籍など、多様なプロフィールを持つ部下を個別対応しつつ、一人ひとりが強みを最大限発揮できるように支援するスキル、ということになるでしょう。

もともと女性は、(子育て経験者に限らず)人の世話をする経験のある人が多く、それを得意とする人も大勢います。その過程で相手の強みを見つける、細かい違いに気づいて個別に対応する、というコミュニケーション能力に長けている人も多いので、実は女性は「管理職に必要なスキルを備えている人が多い」と言えるのではないでしょうか。

「自分が指導をうけた男性上司たちのように、強いリーダーシップでチームを引っ張ることは真似できない……」と、管理職になることに不安を抱えている女性社員の皆さん、安心してください。面倒見のよさや、コミュニケーション能力の高さなど、自分の得意なことを生かして管理職の仕事に取り組めばいいのです。

しかしながら、日本の女性管理職はなかなか増えてこないという現状は見過ごせません。それはいったい、なぜなのか……。いくつかのデータを紐解いてみると、実はすぐに合点がいくのです。

「母集団」からどんどん減っていく女性社員

まずは労働人口の大枠から。日本の女性の25〜54歳の就業率は、2014年時点で約70.8%です(「雇用アウトルック2014」(OECD)より引用)。この数字は、他国から大きく遅れをとっているわけではありません。

また、就業者全体に占める女性の割合も42.8%であり、男女平等性が高いジェンダーギャップ指数上位国のフランス47.9%、スウェーデン47.6%、ノルウェー47.3%などと比較しても、その差はごくわずかです。

一方で、日本の女性管理職率は11.2%と、欧米諸国の平均30〜40%と比較しても、やはり極端に低い水準です(「データブック国際労働比較2015」(独立行政法人労働政策研究・研修機構)より引用)。日本は、女性の就業率においては、諸外国との差がわずかにもかかわらず、なぜ、女性の管理職率が極端に低いのでしょうか?

そのカラクリは、「雇用形態」を細かく見ると一目瞭然です。

一般的に、日本企業で管理職に登用されるためには「正規社員」であることが必要です。先ほど、就業者全体に占める女性の割合は42.8%であると述べましたが、雇用形態が「正規社員」の人だけを抽出してみると、女性の割合は31%に縮小。つまりこの時点で、管理職候補になりうる母集団から女性がぐっと減るのです。

さらに日本の多くの企業の場合、管理職に登用されるためには「正規社員」かつ「総合職」であることが必要。就労者のうち、雇用形態が「正規社員」かつ「総合職」の人を抽出すると、女性の割合は18%になります。

加えて説明すると「正規社員」かつ「総合職」であれば誰でも管理職に登用されるわけではありません。管理職登用において、ある意味、もっとも重要となるのが「昇進意欲」という要素ですが、総合職で働く人のうち「昇進意欲がある人」は、男性74%に対し、女性はわずか27%です(「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査結果」独立行政法人労働政策研究・研修機構2013年3月より弊社が算出)。

結果、「正規社員」「総合職」「昇進意欲あり」という、管理職に登用されるために必要な3つの要素を満たした人を抽出すると、その中で女性の割合はわずか7%程度まで減ってしまっているわけです。

ちなみに同じ年のデータで、現実の管理職に占める女性比率は11%。そういう意味では「管理職になる3条件を満たした人から管理職に登用される率」は、女性の方が男性より高いととらえることができます。

つまり、すべてのネックは管理職に必要な3条件。これを満たしさえすれば、女性は男性よりも管理職になりやすいのです。そして裏を返せば、そもそもの管理職に必要な3つの条件を満たす母集団の中に、女性が少なすぎることが問題なのです。

2020年、このままでは何も変わらない

政府の目標は「2020年までに女性管理職率30%」です。当たり前のことですが、そもそもの管理職候補に占める女性比率が7%のままでは、そんなもの達成できるわけがありません。

日本企業で女性管理職率を増やしていくためには、まずは女性を「正規社員」かつ「総合職」として採用していく必要があります。平行して、すでに採用している女性たちの「昇進意欲あり」を男性並みに増やすことにより、女性の管理職が増える可能性が生まれるのではないでしょうか。

次回以降、女性になぜ「昇進意欲のある人が少ない」のか、その理由と、具体的な解決方法について述べていきます。お楽しみに!