女性活躍推進法」で女性リーダーは増えるか 野田聖子議員の総裁選出馬断念で思う

女性雇用女性活躍推進法」で女性リーダーは増えるか 野田聖子議員の総裁選出馬断念で思う

安倍晋三首相の任期満了に伴う自民党総裁選。出馬が期待されていた野田聖子衆院議員は、20名の推薦人を集められず、出馬を断念しました。

過去、女性で総裁選に出馬が果たせたのは小池百合子氏のみ。日本の国会議員の13%しかいない女性議員は、総裁選に出馬することさえ困難なことなのです。

いったいいつになれば、自民党総裁から首相となる女性政治家が生まれるのでしょうか。ちなみに世界ではメルケル首相を含めて、政治の世界で10名以上の女性リーダーがいます。日本が遅れた状態から脱却するためには、野田氏だけでなく複数の女性総裁候補が登場するべきだとすら思います。

女性管理職が多い業界には特徴がある

では、経済界はどうでしょうか。帝国データバンクの女性登用に対する企業の意識調査によると、女性管理職割合は平均6.4%ですが、ゼロの企業が50.9%にものぼっています。経年で大きな変化はみられません。

従業員における女性従業員比率も20%台なので、管理職になる比率も変化なし。ちなみに、管理職への登用が増えている業種は小売、金融、サービスなど。前提となる従業員としての女性比率が高く、女性の強みである接客部門で管理職として活躍しているケースが多いようです。

金融などは接客がないようで、住宅ローンや保険相談など窓口で個人向けカウンターの強化が進み、その組織の責任者として女性が登用されることが増えているようです。

ただ、全体的としては依然、女性の管理職は増えていません。確かに、会社の管理職研修などを請け負って、会場に入ると、女性の受講者はわずかです。その会社が新規採用で男性ばかり採用しているわけではありません。にもかかわらず、男性管理職だけの状況。その理由を人事部に尋ねると

・採用人数が少ない

・結婚を機に辞めてしまう

・責任のある仕事を望まない

と昔と変わらない理由に加えて「会社として女性管理職を増やすための施策は取り組んでいる」と、努力していることをアピールしてきます。さらに言えば、管理職に登用するまでの時間を考えれば、10年後には期待が出来る……と先送り?のような発言をする人事部もいます。では、女性リーダーの活躍は将来的に期待できるのでしょうか。

「女性活躍推進法」は追い風になるか

変化が期待できる動きも出てきました。それが、企業に女性管理職が占める割合の数値目標の設定などを義務付ける「女性活躍推進法」の成立。2015年8月末に参議院で賛成多数にて可決。今後は従業員301人以上の企業に、職場における「女性の採用比率」「勤続年数の男女差」「労働時間の男女差」「管理職に占める女性の割合」などについての状況を把握・分析することが義務付けられます。さらに改善への取り組みや数値目標を盛り込んだ「行動計画」の策定や女性の活躍に関する情報も公表しなければならなくなります。

政府が目指す「2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%にする」との目標を実現するための“強制ギブス”をはめることにしたのです。

これまで政府は、ポジティブアクションと命名された女性の活躍推進をするための補助金を支給し、推進する企業は表彰もされてきました。ただ、それでも数値的な成果にまで至らない状況が続きました。ゆえに、義務付けというルールで縛らないと女性リーダーは生まれないと政府も判断したのでしょう。

ちなみに先進国で女性管理職の平均は4割程度。アジアでもフィリピン、シンガポール、マレーシアなど、日本より女性管理職の占める割合が高い国はたくさんあります。

こうした女性管理職の活躍は大企業への枷(かせ)により加速するのか? 確かに学生の採用など大企業は経団連の倫理規定を順守。ところが、中小企業は勝手に前倒しで内定を出しているのが実情。従業員の少ない中小企業は、今回の法律では「努力義務」が課せられているのみとなっているため、期待出来ない……との声も聞きます。

ただ、女性管理職に関してはすこし状況が違うかもしれません。それは、採用で人材確保に苦労しているから。

優秀な人材を確保するため、女性の採用数を増やす中小企業は増えています。中小企業経営者は人材不足が長期的に続くと見ており、女性の積極的な採用を最優先の取り組みに掲げています(産能大学調べ)。

中小企業の取り組みがヒントになる

さらに女性の視点を生かした商品企画などのプロジェクトを立ち上げ、活躍機会を増やすことで管理職への登用を加速する中小企業が出てきました。たとえば、ある製茶会社では、日本茶離れを食い止めるための新ブランドを女性従業員だけに任せるプロジェクトを発足。あるいは住宅業界で子育てに適した住まいを女性従業員で企画。男性社員では難しい創意工夫のちりばめられた商品開発の成果から、女性管理職を登用につなげたとのこと。大企業であれば、大胆な役割の登用には社内における調整等で時間がかかり、難しかったかもしれません。

あるいは、仕事は任せたとしても管理職への道につなげるのは簡単ではありません。大企業では管理職になるために登用ルールが決まっています。管理職になるまでの年数が長く、過去に管理職に登用された男性社員との比較がされたりします。中小企業のほうが比較的、柔軟かつ大胆に女性管理職を登用できるお膳立てができるとも言えます。

ちなみに女性活躍推進法行は2016年4月1日に施行。10年間の時限立法です。期限がくる2026年には女性の活躍は推進しているでしょうか。それとも活躍が推進せずに期限の先延ばしがされる残念な結果になるか? 中小企業の取り組みが起爆剤になることを願いたいと思います。