[改正派遣法成立] 雇用不安定化させるな

派遣[改正派遣法成立] 雇用不安定化させるな

改正労働者派遣法が成立した。企業が派遣制度を利用する際の規制緩和が柱だ。

派遣を利用する企業の自由度は大幅に増すが、派遣就労が固定化する懸念もある。

雇用を不安定化させてはならない。政府は、改正法に盛り込んだ雇用安定措置が十分機能するよう取り組みを強めるべきだ。

改正法は、現行では通訳や秘書などの専門業務を除いて最長3年となっている企業の派遣受け入れ期間の制限を撤廃する。

専門業務と一般業務という区分けを廃止し、3年ごとに人を入れ替えて労働組合の意見を聞けば、企業は同じ職場にずっと派遣を配置できるようになる。

改正法は働く人の視点に立っていると言い難い。派遣労働者は人件費が安く、景気に応じて人員調整しやすい。企業の使い勝手だけが大幅に向上する。

連合鹿児島は抗議集会で「労働者は3年ごとに職場でたらい回しにされ、使い捨てにされる」と訴えた。労働界の危機感は強い。

政府が改正法の成立を急いだ背景にも、経済界の事情を優先したことがうかがえる。

現行法では、企業に不利な制度が10月から始まるためだ。違法派遣があった場合、社員などとして雇わなければならない「労働契約申し込みみなし制度」だ。

だが、期間制限をなくす改正法が施行されれば、違反リスクは低下する。みなし制度は有名無実化された形だ。

国会審議で政府、与党は「派遣労働者の雇用安定や正社員化を支援する」と説明した。その根拠は派遣会社に雇用安定措置や計画的な教育訓練を義務付けたことだ。

これに対して野党は「低賃金で働く生涯派遣の人を増やすだけ」と反発した。

派遣の現場からも「雇用安定措置が本当に正社員への道を開くのか」「キャリアアップのための教育訓練は形だけでは」との疑問の声が上がる。

派遣労働者は立場が弱く、権利も保障されにくい。懸念を強めるのは無理もない。

政府はこうした声に謙虚に耳を傾けるべきだ。雇用安定に向け、企業頼みの姿勢ではなく実効性を高める工夫を求めたい。

待遇改善には、派遣と正社員の賃金格差をなくす「同一労働同一賃金」の確立が必要だ。

今国会に対案として提出されたが、修正によって事実上、骨抜きとなった経緯がある。内実が伴った同一労働同一賃金の実現をどう図るか、次の課題としてもらいたい。