派遣の就労経験がキャリアとして認知されることが必要

派遣派遣の就労経験がキャリアとして認知されることが必要

筆者は、業界の内外で「派遣の今後のあり方」を聴かれることが多くなりました。う~ん、と腕組みしながら、「派遣就労の経験が単なる次へのつなぎとしてではなくて、『キャリア』として社会的に認知されないときびしいと思う」と答えています。加えて、派遣法が改正されるたびに聞かれる派遣批判の流れを変えないといけません。

キャリア形成支援がイメージチェンジの要素

筆者は5月初め、顔見知りの野党議員に電話で派遣法改正案の国会審議の今後について聞きました。「あなたの立場はわかるが、今の私どもは改正案に基本的に反対です。半永久的な派遣活用を許すのはいかがなものか、という立場です。それに、派遣は派遣でしかなくキャリア形成に資するかどうか疑問。イメージもねえ…」と。

当該議員の最後のつぶやきに本音を読み取りました。労組OBも同じでした。それは、08年師走の「年越し派遣村」、「秋葉原殺傷事件」、06~07年の上場派遣元企業による脱法行為の告発記事、反偽装請負キャンペーン。事件が発生すると、容疑者を「元派遣社員」と表示するのは今も続いています。真偽を別として7年経った今も偏見は残っています。

もう1つ。前述のように、派遣就業の実績が派遣で働く人たちのキャリア形成に貢献しているかどうかという点が問われるでしょう。それについて、正直なところ、業界内ですらプラスとなっていると断定できる人はそう多くはありません。それを示す指標は今のところなさそうです。

スタッフ満足度調査結果に見るパソナ現象

では、キャリア形成とは何なのか?どうも抽象的でわかりにくい。「キャリアアップ措置」を定めた改正派遣法案が成立して施行後数年を経なければ何とも評価しにくい課題ですが、筆者が今ある事例で抱くイメージは次のようです。

月刊人材ビジネスが10年以上も前から実施している「スタッフ満足度調査」で1つの指標が浮かんできます。過去5年間の調査結果(年2回実施)でパソナの健闘が目につく点です。

あまり触れたくありませんが、周知のように、パソナ関連でいろいろな報道があったのは事実です。しかしながら、スタッフの満足度調査で同社は上位であり続けたのです。特に「口コミ率」では10回の調査中8回も第1位を獲得しているのです。筆者はそこに考えるヒントがあると言いたいのです。

要するに、スタッフたちに対するサービスの良さが事件や醜聞に左右されないほどに定着しているように映るのです。コンペチターとしては複雑な心境でしょうが、調査のたびごとに2千人を超える現役スタッフたちの多くがパソナの名前を挙げているのは承知の通りです。

同社関係者によると、派遣で働く多くのスタッフたちが「パソナスタッフ」であることを誇りにしているのだそうです。それは、サービス現場の社員たちの意識も高い証拠です。

それについて同業他社もほぼ認めています。取扱高の点では1位と2位を他社に譲っていますが、クオリティが高そうだという印象を与えている点で評価されてよいと思います。

さて、そのスタッフ満足度調査結果は、すでに有力な求人サイト上でも公表され始めています。求職者たちから調査結果に関して問い合わせが増えているためだそうです。今後も満足度調査結果は派遣会社選びの指標となり続けるでしょう。選ぶのは求職者たちばかりではありません。派遣を要請する派遣先企業にも影響を与えるでしょう。

キャリア形成はそういう満足度の高さから育まれるものと思われます。

社会貢献の事業となればイメージは改善する

ところで、話題を改正派遣法案に戻します。筆者は当初改正案の中身に戸惑いましたが、今では、時代の要請でもあり結果として良かったのではないかと思います。人口減少が続く中で、派遣元企業の派遣で働く人たちの募集活動は容易でありません。

そういう状況下でスタッフに対して常用雇用の道を開いた今回の改正案は、時代の流れとして評価されてよいと思います。その常用雇用率が少しずつ増えれば、派遣就業は働き方の選択肢の1つとなり誤解による悪印象は失せるでしょう。

20年ほど前、派遣就労で“30歳定年説”という言葉がありました。しかし、今では40歳代まで延びています。政府も主婦の社会復帰を促す政策立案をしているので、派遣就労年齢は今後50歳代にまで延びると思います。派遣先による派遣活用がさらに変化して、派遣スタッフによるワークシェア率は増えると予想します。派遣はそういう時代の先端に位置して社会貢献をしてほしいと希望します。