女性雇用35歳から挑む転職…育児との両立、責任感求めて
30代後半から転職に挑む女性が増えている。子育て支援が充実した会社を探したり、責任のある仕事を求めたり。
転職市場では従来、若手の需要が高く、「35歳以降は難しい」とされてきたが、最近は、能力があれば年齢を問わない企業が目立つ。こうした変化も30代後半の女性たちを後押しする。
経験を武器に
東京都内の女性(38)は3年前、製薬会社に転職した。その後、結婚や出産を経て、育児休業が明けた今年4月に職場復帰した。「子育てしながらの仕事は大変ですが、職場の理解があり、充実した毎日」と笑顔で話す。
前の会社では、20代で管理職になるなど、仕事は順調だった。だが、育児支援の環境が不十分で、先輩や同僚の女性の多くは結婚や出産を機に退職していった。この女性にも結婚の予定があり、その後は仕事と家庭の両立が難しいと判断し、転職活動を始めた。
人材紹介会社3社に登録し、約10社に応募した。「30代後半の女性の転職は難しいと思っていたが、活動するうち、自分の人脈や幅広い経験が武器になることも分かった」と振り返る。2社から内定を得て、今の会社を選んだ。給与は前の会社と変わらないという。
総務省の労働力調査によると、35歳以上の女性転職者は、2014年に約83万人。女性の全転職者に占める割合は54・6%で、04年の42・5%から増えた。
転職サービス業界では長らく、「転職は35歳が限界」とされてきた。20代など若手を採用し、自社で育てる企業が多かったためだ。だがここ数年、経験や能力のある即戦力を求める傾向が強まり、35歳以上にも目を向けるようになってきた。特にこの2、3年は景気回復で求人が増え、20代など若い転職者の獲得競争が激しくなり、30代後半には有利に働いている。
人材紹介会社、インテリジェンス(東京)キャリアコンサルタントの川嶋由美子さんは「働く女性を支援する機運が社会的に高まり、結婚、出産後も働き続けたい女性が増えた。だが、まだ育児支援制度が整っていない会社もある。『景気のいい今のうちに』と転職を決意するようだ」と話す。
年数を重ねても裁量権のある仕事が与えられないという理由で、転職を目指す例もある。
今年6月、ウェブサイト運営会社に転職した女性(35)もその一人。以前はウェブ制作会社で働いていたが、「他の会社から受注した仕事をこなすだけで、面白くない。企画から関われる、責任ある仕事をしたい」と転職。現在は新規プロジェクトのリーダーを担当し、意欲的に働く日々だ。
やりがい感じず
一方、思い描いた仕事と転職先での実際の業務とのギャップに悩む例もある。
新興の金融会社に勤めていた30代半ばの女性。職場には活気があったが、景気に業績が左右されやすい点が不安だった。結婚しており、子どもが欲しかったため、より安定した会社で定年まで勤めようと、昨年、大手カード会社の子会社に転職した。
だが、今の仕事は会議室の予約など事務関連が多く、やりがいを感じない。女性は「毎日、辞めたいと思うけど、安定も手放したくない」と苦悩する。
キャリアカウンセラーの藤井佐和子さんは、「全ての希望を満足させる転職は難しい。5年後、10年後も見据え、転職を通して何の実現を優先させるかはっきりさせた上で、会社を選んで」とアドバイスする。
営業や販売職は未経験者でも需要
30代後半からの転職は、経験のある職種や同じ業種で探すことが多い。その場合、人材紹介会社を使うのが効率的だ。企業の特徴や業界の動向に通じたコンサルタントが、求職者の能力や経験に適した求人情報を紹介してくれる。
一方、未経験の業種や職種に挑戦する場合、多くの求人情報が掲載された求人サイトで、「未経験可」の求人を検索するといい。営業職や販売職は「女性のコミュニケーション力が生きる」として、未経験でも需要は高いという。
キャリアカウンセラーの藤井佐和子さんは「未経験の職種や業種は、業務内容の大変さも含めて調べ、それでも転職したい理由を明確にして面接などで話せば、良い評価につながる」と助言する。
いずれにしても、複数の会社に同時に応募して、比較しながら面接などの活動をした方がいい。1社から内定が出た場合に、比較対象がないと迷いが出やすいという。
