派遣専門職種も雇い止め不安 派遣法改正、期間3年に短縮へ
参院で8日に審議入りした労働者派遣法改正案に、派遣社員から戸惑いの声が出ている。派遣社員として同じ会社で無期限に働けた研究職や秘書など専門性のある26業務も、原則3年までしか働けなくなるからだ。政府は改正案に派遣社員の雇用安定策を盛り込み、待遇改善にも取り組むと理解を求める。国会審議を通じ、120万人以上の派遣社員たちの不安を払拭できるかが課題となる。
「給料は上がらないけど、雇用が安定していたからこそがんばって働いてこられた」。神奈川県内の企業で研究職として働く女性(39)はこう話す。
大手企業の研究所に派遣されて約3年。給与は月20万円前後と正社員とは開きがあるが、仕事内容が無期限で働ける専門業務に当たるため、職場には10年近く研究を続けている派遣社員もいる。
改正法案では同じ職場で働けるのは原則として3年となり、雇い止めの懸念が広がる。女性は「別の研究機関に移れたとしても、この会社で身につけたノウハウはリセットされてしまう」と心配する。
派遣社員は全国に約126万人いる。秘書、研究職、システムエンジニア(SE)といった専門性の高い26業務の派遣社員は約49万人で、現行制度では同じ職場で無期限で働けるが、改正案では派遣会社に無期雇用されないと3年以上は働けなくなる。
秘書として働く東京都内の女性(40)は「派遣社員の立場がさらに弱くなるのではないか」と心配する。大手企業で秘書のキャリアを積み、正社員に負けない自信もある。「派遣先企業の正社員になれないなら、せめて派遣会社に無期雇用してもらいたいが、期待できるのか分からない」と不安は尽きない。
国会審議で民主党などは「派遣社員の固定化を招く」と批判する。これに対し、政府側は「労働者の多様な働き方に対応できるようになる」と説明。参院本会議でも、安倍晋三首相は「派遣で働く方の待遇改善にしっかり取り組む」などと述べた。
法案は衆院では可決されており今国会で成立する見通しだが、内容の周知も課題だ。専門業務のビルメンテナンスの40代男性は「法改正でどうなるのか、派遣会社からまったく知らされていない」と話す。都内のSEの女性(49)も「周囲の派遣社員に改正案の話をするときょとんとされる」という。
労働法制に詳しい阿部正浩中央大教授(労働経済学)は「26の専門業務に就く派遣社員の不安は特に大きい。3年での雇い止めが相次がないように政策的支援が必要だ」と指摘。さらに「パートなどを含む非正規雇用全体の安定性を高めていくことが引き続き課題になる」としている。