初公開!「女性が働きやすい」トップ300社 活躍度合いや制度充実を徹底評価

女性雇用初公開!「女性が働きやすい」トップ300社 活躍度合いや制度充実を徹底評価

アベノミクスの第3の矢・成長戦略の柱の一つである「女性活躍推進」。女性活用が遅れているといわれる日本企業が大きく変わるきっかけになると期待されている。一方で、女性活用をどのように進めていけばよいのかといった点は必ずしも明確ではない。

3分野37項目で総合評価、1位は三越伊勢丹HD

そこで、人材活用に関する情報を豊富に掲載する『CSR企業総覧』(東洋経済新報社)2015年版掲載の1305社のデータを基に「女性が働きやすい会社ランキング」を作成した。上位企業の取り組みを紹介しながら、「女性の活用」が進むためのポイントについて考えてみたい。

ランキングは「女性の活躍」「育児・介護」「働きやすさ」の3分野、合計37項目(100点満点)で評価した(評価項目は図表参照)。

1位は三越伊勢丹ホールディングスの88.4点(データは三越伊勢丹)。女性の活躍32.4点、育児・介護24.5点、働きやすさ31.5点だった。

百貨店業態の三越伊勢丹にはもともと女性従業員が多い。2013年度で男性2795人に対して女性2682人とほぼ半数が女性だ。女性管理職比率も22.9%と日本企業としては高い。さらに、新規管理職登用者の女性比率は3年平均で43.6%と女性管理職は年々増加している。

仕事と家庭を両立する制度も充実している。育児休業は最長で3年間可能。早期にフルタイム勤務に復帰できるようシフト固定の勤務設定、育児中の従業員が悩みや情報を交換する場としてワーキングマザー情報交換会の実施など目白押し。これらは月給制契約社員も利用可能だ。さらに契約社員から社員への転換にも積極的で2014年4月には66人が対象となった。

一般的に小売業では低い有給休暇取得率も82.9%と高水準。コアタイムなしのフレックスタイム制度などで残業時間も月7.0時間と少なくワーク・ライフ・バランスに配慮している。他に年1回の社内公募制度、FA制度やキャリア形成支援なども実施。やりがいのある職場で「働きやすさ」も高評価だった。

2位資生堂、3位には明治安田生命が続く

続いて2位は87.1点の資生堂。女性の活躍34.6点は全体のトップ。一方、育児・介護23.3点、働きやすさ29.2点となった。資生堂も過半数を超える女性従業員の支援制度は充実している。ビューティーコンサルタントの育児時間取得のための代替要員確保や、配偶者の転勤に同行しても仕事を継続できる環境などを整備している。

また、女性従業員のキャリア意識、ネットワークづくりを目的とした「きゃりなびランチ」、女性管理職を恒常的に輩出する組織風土醸成を狙った「女性上司向けセミナー」なども開催。女性のキャリア育成にも積極的だ。

役職者への女性登用も進んでいる。管理職は26.8%、部長は12.9%と高水準で、2016年10月までに「リーダーに占める女性の割合30%を目指す」という目標を掲げる。

他に長時間残業削減を狙った「消灯施策」や「定時退社デー」の導入、男性社員の育児参画への意識啓発を目的とした「イクメンランチ」開催など女性だけを対象にしない取り組みも行っている。

3位は明治安田生命保険(86.1点)。女性の活躍32.4点、育児・介護24.5点、働きやすさ29.2点だった。生命保険業のため、女性は全体の87.6%と多数派。2013年度の育児休業取得者も1304人(うち男性69人)と子育てママが多い。このため、特に女性従業員の仕事と家庭の両立支援に力を入れている。

産休は法定を上回る産前8週間・産後9週間。保育料補助支給制度や小学3年生までの子を対象にした検診・予防接種・学校行事への参加のための休暇制度、勤務地変更取り扱い制度など女性が長く働き続けられる仕組みが多く存在する。

女性管理職は8.6%。女性従業員の多さからは若干物足りない数字だが、女性管理職候補者を対象とした研修やキャリア開発支援の強化などで、さらに比率アップを目指している。

4位は富士フイルムホールディングス(85.1点)。女性の活躍29.1点、育児・介護24.5点、働きやすさ31.5点だった。

女性社員比率は全体の16.3%と少数派だが、配偶者の転勤や育児等の理由による退職者の再入社制度、女性メンター制度といった先進的な制度は導入済み。さらに産休・育休期間を短期間や複数回など柔軟に設定可能、育児サービス費用の補助など各自が考えるキャリアを継続できるよう配慮されている。女性管理職も4.1%と製造業では高い水準で責任ある立場への登用も進みつつある。

以下、5位東京海上ホールディングス(85.0点)、6位髙島屋(84.9点)、7位富士通(84.1点)、8位ANAホールディングス(83.9点)と続く。

上位には女性従業員が多い企業が目立った。もともと多数の女性が働いており、戦力となった従業員が出産を機に辞めなくてもよいよう両立支援制度が徐々に整えられてきた経緯がある。具体的には長期の育児休業や時短勤務などの各種制度の整備に加え、子育て中や管理職といったさまざまな女性のネットワーク作りが代表的な取り組みだ。さらに最近は女性の多さに見合った管理職比率に高める動きも進んでいる。

一方で、4位富士フイルムや7位富士通などはこれまで少なかった女性を徐々に増やしている段階だ。各種制度面ではすでに女性が多い企業と遜色ないレベルにある。

よりこまやかな対応が必要

ただ、人数が少ないため子育て中の女性従業員が孤立したり、目標を見失ったりするという問題も起きやすい。そのため社内の女性のネットワーク化やメンター制度、さらに同じ立場にある社外の女性とのコミュニケーションの場作りなど、よりこまやかな対応が必要とされる。

上位企業全体の特徴としては、各社にあった制度導入はもちろんだが、女性人数に関わらず、横や縦のつながりを会社側が用意するケースが多い。女性のやる気を引き出していくネットワークの構築が「女性活用」の成功に欠かせないようだ。

女性が少ない製造業でも、勤続年数の男女差にほとんど差がない企業は多くある。たとえば、富士フイルムは男性18.6年に対して、女性16.4年。管理職登用はまだまだだが、女性にとって働きやすい職場ではありそうだ。これらの企業が将来の人材確保や外部の圧力から女性の役職登用を真剣に考えるようになってきている。こうした変化が日本全体に広がっていくと、女性活用も大きく進む可能性が高い。

今回は300位までご紹介したが、各社と部門別内訳の上位企業の各得点と比較することで自社の弱いところがわかるだろう。その際に『CSR企業総覧』もあわせてご覧いただきたい。