女性雇用グーグルと西友の女性支援が面白い! リーダーシップを持って社会に発信
「ママの誕生日には検診をプレゼント」
「子どもが長期休暇中、両親はオンラインで仕事ができるように」
「最新プログラミングをマスターしてスキルと収入をアップ」
「子どもを預けず職場に連れて働くワークスタイルを」
これらは5月8日、「働くママと、みんなにハッピーな未来」をテーマにしたアイデアソン(グーグルと女性支援コンソーシアムのPROJECT Wの共催)で発表されたアイデアだ。
グーグルらしい独自の女性支援活動
女性が活躍できる社会を目指して、さまざまな団体、企業が活動に取り組んでいるが、この領域でもグーグルが存在感を強めている。2014年10月に女性支援活動Women Willを開始。インターネットを活用することで人生がより充実するものになるというメッセージを発信し始めたほか、2015年3月5日には“HappyBackToWork”プロジェクトを立ち上げた。
これは、諸事情で仕事を離れた女性の復帰を応援するアイデアを募集し、企業などがそれらを実践する動きにつなげるもの。ドキュメント動画を活用するなど、グーグルらしい手法が話題となった。
こうしたキャンペーンのベースとなったのは、グーグルが実施した調査結果だ。離職予定の女性に「働き続けることが難しい理由」を聞いたところ、通勤に長い時間をかけられない、自分が働きたい勤務エリアが限られる、子どもに手がかかり十分な時間を確保できないといった理由が多く挙げられ、キャリアや待遇への不満を上回った。また、時短などの制度だけでなく、ITテクノロジーもあわせて活用している人のほうが、そうでない人よりも、現在の会社で働き続けたいとする割合が増えることもわかった。
WomenWillを担当するブランドマーケティングマネージャーの山本裕介氏は、「制度とテクノロジー、両方を活用すればもっとハッピーに働けるのではないかと考えました。
さらに聞き取り調査をしていくと、テクノロジーがあってもカルチャー、具体的には男性上司の理解がないと実現は難しいことも明らかになったので、HappyBackToWorkでは、周りの人たちが具体的に何をしたらいいのか、何ができるかという点にフォーカスしました」と語る。
働く女性を応援するアイデアを集め、働く女性がしてほしいことを明らかにしていく。そうすることで、周囲の上司や同僚、人事担当、夫ができることも見えてくる――。「サポート企業には、投稿されたアイデアから『うちはこれをやります』と選んで宣言していただく。アイデアと企業をマッチングして、世の中が少しでも動くようにしたい」(山本氏)との願いが込められている。
企業はどのようなアイデアを取り入れているのか
ウエブサイトでは、サポーター企業が実際にどういったアイデアを取り入れているかを紹介している。「育児休職中の経済的支援など男性の育児休職取得に向けたサポート」(ベネッセ)、「どうしても仕事が終わらないとき、保育園に行ってから子どもを連れて職場に戻れる」(スペースタイム)、「子どもが熱を出したときの制度として、有給の病欠休暇を整備」「妊娠時短制度」(モバイルファクトリー)、「女性社員の悩みやそのアドバイスをまとめた冊子を上司に配付」(リクルートグループ)といった具合だ。
ウェブマーケティングを手掛ける全研本社では、「5月8日はできるかぎり早く帰って、いつもがんばっているお母さんに感謝するための時間に使う」という母の日キャンペーンに賛同、100本のカーネーションを準備して希望者に配付した。
5月時点で、2000近いアイデアが集まった。気に入ったアイデアに投票ができるほか、SNSなどでシェアする動きも広がっている。「『長時間働いた人がえらい』そんな空気、やめませんか」「男性には2週間の育休より1年間の定時上がりを!」「保育士さん感謝デー 母の日みたいに」「ママひとりの時間を作ってあげよう」といったアイデアの人気が高く、「上場企業の役員情報に奥さんからの旦那さんへの要望を掲載する」といったユニークなものも。そのほか、「会社役員に1日保育研修」のたぐいも目立つ。育児の大変さをわかってほしい、体験してほしいと思っている女性の気持ちが伝わってくる。
3月にグーグルが主催したアイデアソンでは、参加者のバランスに留意したという。「女性は女性、人事は人事と、同じ立場の人たちだけで集まっても、それだけではリアリティがないし、その場にいない人のことを考えるのは難しい」と山本さん。グーグルが女性支援活動で重視しているのは、具体的なアクションとダイバーシティの視点なのだ。
女性起業家を応援する西友の狙い
米ウォルマート傘下にある西友が、日本で進めている女性支援活動が関係者の間で注目を集めている。ウォルマートの社会貢献活動は環境、食品寄付、女性の経済的自立支援の3つの柱があり、それに沿う形で西友も活動を行っている。
女性の自立支援の領域では、これまで産後ケアのマドレボニータ、病児保育のフローレンスなどを支援してきたが、今年は日本女性起業家支援協会(JMEC)が加わった。日本ママ起業家大学の受講希望者で経済的課題を抱えた女性を対象に、受講料を免除する奨学金制度を始めるのだ。
「西友が女性起業家を応援しているというメッセージでもある。もともと、お客様もアソシエイト(従業員)も女性比率が高く、女性が仕事でもプライベートでも暮らしやすい世の中になることが、ビジネスの永続的な発展につながると認識している」と話すのは、西友執行役員の金山亮氏。さらにウォルマート流と言えるのが、取り組みの対象を取引先まで広げていること。サプライチェーンまで目配りしている企業は、日本ではまだまだ少数派といえる。
その具体例が、「女性が活躍する企業からの商品公募」キャンペーンだ。女性が経営トップの役職に就いている企業など、女性が活躍している企業から積極的に商品を調達するもの。3回目となる今年はすでに募集を終了、7月に結果を発表する予定だ。公募の中から選ばれた商品はオンラインの「SEIYUドットコム」で販売するほか、一部は実店舗でも販売する。
2014年の助成金実績は3360万円だった。「大企業と比べると微々たるものかもしれないが、エッジを立てて使っていきたい」と金山氏。支援する団体を選択するに当たっては、「先進的な着眼点を持っているか、持続可能な運営をしているか、民間企業がなかなかできない領域にチャレンジしているか、といったポイントを重視している」という。
金山氏はウォルマートについて、「世界最大の小売業という立場を活用し、自社を超えて影響力を発揮しようとしている」と分析する。リーダーシップを取り、社会に積極的に発信しようとするそのスタンスは、グーグルも同じ。グローバル企業としての自覚の表れと言えそうだ。