女性雇用ハートフルタクシー、子育てママを運転手に 無料託児所
ハートフルタクシー(神奈川県海老名市、飯田隆明社長)は子育てをする女性を対象にした運転手の育成を始めた。本社敷地内に無料託児所を併設し、営業運転に必要な2種免許の取得段階から雇用。勤務は日中で、乳幼児を抱えた母親や高齢者らが通院や買い物などにタクシーを利用するのに対応する。子育てママを対象にしたタクシー運転手育成は極めて異例だ。
同社は10月から、26~43歳の女性6人を採用。うち5人が生後6カ月から4歳までの乳幼児を持つ。本社が入居する賃貸マンションに隣接する部屋を託児所に改装し、専任の保育士7人が交代で預かる。
入社後は自動車教習所に通い、2種免許を取得。今月から順次、営業運転を始めている。勤務時間は午前8時半~午後5時半で、給与は歩合制ではなく、時給制を採用した。
夕方までの勤務のため深夜の酔客の対応もほとんどなく、運転経験の浅い女性でもニーズに対応できると判断した。「乗務の9割が電話による無線配車で、駅のロータリーで待つなどの時間ロスが少ない」という。
単独での営業を始めて一週間という加藤知枝さん(31)は1歳3カ月の子供を預けて乗務。「人と接することが好きで仕事を探していたら、たまたまタクシー運転手採用の募集広告が目に留まった」と話す。昼休みに子供の様子を見ることもできることから就職を決めたという。
営業エリアの海老名、座間、綾瀬、大和の4市は交通過疎の地域も多い。このため高齢者や障害者、妊婦、育児中の女性といった交通手段を持たない層の日中のタクシー需要がある。日中の利用者のおよそ7割は高齢者で、行政が交付する福祉タクシー券を利用するケースも多い。
同社のタクシーは自動ドアを採用せず、運転手がドアの開け閉めをしている。乗降時のサポートも含めて女性の接客サービスが乗客の満足度を高めることを期待。併せて介護や育児目的のタクシー利用の拡大を促す考えだ。
タクシー業界は運転手の高齢化に加え、深刻な人材不足が続いている。同社は女性運転手向けの環境整備で人材を補う。秦野市に本社を置くグループ会社の愛鶴でも来秋から同様の人材確保策を始める。ハートフルタクシーは「今後は採用枠を拡大するほか、学童保育なども始め、女性が長期的に働ける体制にしたい」(飯田社長)としている。
同社は愛鶴のグループ会社として2006年に設立。従業員は57人で、うち15人が女性。タクシー26台を保有しており、14年9月期の売上高は約3億4000万円。