女性雇用衆院選:政策を問う=女性活用 切り込み不十分
「家で子育て頑張るお母さん、介護しているお母さん、仕事も子育てもするお母さん、キャリアを積もうとする女性もしっかり支援する」。首相は街頭演説の締めくくりに「女性政策」をよく持ち出す。率先して切り開いてきた分野だとの自負がのぞく。
女性・子育て分野の各党公約
日本と主な国の男女格差指数と順位
「最も生かしきれていない人材は女性だ」。昨年4月、東京・内幸町の日本記者クラブ。アベノミクスの第三の矢「成長戦略」を説明する中で、首相は女性政策を社会保障から切り離し成長戦略の中核に据えると表明。2003年に政府の男女共同参画推進本部が決めた「2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%にする202030(ニイマル・ニイマル・サンマル)」の実現と待機児童解消を主軸に、「すべての女性が輝く社会」を目指す政策に着手した。
10年間ほとんど進まなかった「202030」に目をつけたのは、労働力としての女性に期待したからだ。少子高齢化で労働力人口減少は自明だが、自民党は移民政策には消極的。女性の社会進出をサポートする団体は「家庭で眠ってしまう女性の力が必要になる。そうせざるを得ない状況があった」と解説する。
首相は経済3団体に女性登用を要請し、経済界も目標を設定するなど呼応した。21世紀職業財団の岩田喜美枝会長は「仕事と子育ての両立支援とキャリアアップ支援という二つの軸をよく押さえている。画期的だ」と一連の動きを評価する。
別の見方もある。大沢真理・東京大学社会科学研究所教授は「一部の女性が役職を得て働けば他にも滴り落ちるというのでは、経済のトリクルダウンと同じ発想だ」と話す。首相は省庁の事務次官や首相秘書官に女性を起用。9月の内閣改造では過去最多に並ぶ「5人」にこだわり女性閣僚を“量産”した。目玉を作り、全体を引き上げる手法だが、大沢氏は「正規・非正規の格差を解消し、採用段階から女性を増やし育てる政策にも力を入れてほしい」と話す。「202030」は、キャリアアップの仕組みのある正社員には朗報かもしれないが、女性雇用者(会社役員除く)の約6割を占める非正規へのフォローが抜け落ちているという指摘だ。
民主党は公示前日の1日、結党以来掲げてきた「チルドレンファースト」の精神に基づき「子ども・子育てマニフェスト」を発表。福山哲郎政調会長は「老後の安心、雇用の安定、子育て支援が『人への投資』の3本柱だ」と強調した。

