男性上司が知らない女性の思考・行動パターンとは?

女性雇用男性上司が知らない女性の思考・行動パターンとは?

石田:女性が持っている思考パターンや行動パターンは、意外に男性は知らないかもしれませんね。他に、男性課長が知らない、そして知っておくべき思考パターンや行動パターンはありますか。

藤井:女性社員は情報共有をしてほしがる傾向があります。男性管理職が思っている以上にこの傾向は強いです。

女性社員向けの研修で「上司に対して困っていることは何ですか」と聞くと、「情報共有してくれない」という内容が頻繁に挙げられるんです。 その理由を調べてみると、どうやら男性管理職が「これは別に女性には伝えなくてもいいだろう」というふうに勝手な概念を持ってしまっていることが多い。そうすると、やる気も能力もある女性社員たちも、「自分たちは期待されていないんだ」というふうに思ってしまいます。

加えて、情報をきちんと伝える場合でも、女性はより詳細で明確な表現を求める傾向が強いですね。男性はもともと空間認識能力が高いですから、物理空間においても、抽象空間においても、何がどういう構造になっているかがすぐに理解できます。例えば、組織の動きやお客様の変化を読み取って、人間関係の構図、仕事の流れ、チームの中で自分に何が求められているのか、今度仕事がどう変化しそうかといったポイントが何となく理解できたりするんです。

藤井佐和子(ふじい・さわこ)
キャリエーラ 代表取締役
大手光学機器メーカー海外営業部勤務後、人材総合ビジネスのインテリジェンスにて女性の転職チームリーダーコンサルタントとして、女性の転職をサポート。現在は株式会社キャリエーラを設立し、キャリアコンサルタントとして、女性のキャリアカウンセリング、企業のダイバーシティー、大学生のキャリアデザインをテーマとした研修や講演を行う。カウンセリング実績は1万3000人以上。著書は『女性社員に支持されるできる上司の働き方』(WAVE出版)など多数。日経BP「課長塾」講師も務める。

一方、女性は男性と比較すると、空間認識が苦手な人が多い。実際、方向音痴で、指さし確認しながら歩いているんです。なので、情報が命なんです。見えていないから、ついつい頑張りどころを間違えちゃう。男性管理職はそれ見るとイライラしてしまう。つまり、男性の管理職からすれば、「見れば分かるでしょう」「言わなくても分かるでしょう」ということが、女性社員にとっては分からないことが多いんです。

ですから、男性管理職は女性社員に対しては、何が仕事の目的やゴールなのか、プロジェクトでその社員が担う役割は何か、期待している成果は何なのかを明示的に示してあげたほうがいいでしょう。

実際、私もそうなんです。女性は自分がきちんと理解できる仕事のマップをしっかり描かないと、仕事の流れがよく分からない。それから、一緒に働いているチームメンバーに、しつこいほどにゴールや狙いや目的とか確認しないと不安になります。

仕事内容を分解して説明するとか、求めている役割を明示的に説明する、といった点は、石田さんが専門としている行動科学マネジメントの基本でもありますよね。行動科学マネジメントの考え方を意識している課長であれば、女性の部下に対してもそれほど違和感なく仕事を任せられるのでは。

石田:最近は大手企業を中心に職場に外国人が増えてきていて、以前のようなあうんの呼吸が通じなくなっています。そこで、仕事のゴールや期待している成果をはっきり伝えることが重要になってきています。それと同じですね。

私もしばしば男性管理職から「男性の部下はこれをやっておけよと言えば、それで済む。でも、女性の部下の場合、何のためにこれをやって、どういうふうにやるのかって細かく言わなくちゃいけない」という悩みを打ち明けられます。その背景が今のお話を聞いて理解できました。

それがいいか悪いかという話ではなく、女性ならではの特性なのでしょうね。

仕事に自分の人生を持ち込みがち

石田:ほかに、女性ならではの特徴はありますか。

藤井:結婚や家庭と仕事のことを同列に考えるという傾向が強いので、そこも男性にとっては違和感があるかもしれません。特に若手の女性社員は、結婚や出産といった人生のタイミングをかなり意識しています。

ある女性向けの研修を開催した時、「先生のおっしゃっているキャリアの重要性は分かるんだけど、私の一番の課題は今、結婚できるかどうかなんです」とはっきり言われたことがあります。自分の若いころを考えるとそうだよな、とは思うのですが。つまりそれくらい、女性は仕事以外のことも仕事と同じくらい重要だと考える傾向があります。

この感覚をそのまま職場に持ち込み、いろいろなことをごちゃ混ぜに考えて「この仕事はやってもいいけど、この仕事はやりたくない」などと言ったりしますから、男性の上司にとっては使いづらいと感じることもあるでしょうね。

石田:男性は「仕事だから」と割り切って仕事を優先させる傾向が強いので、男性の上司はますます違和感を抱いてしまうわけですね。

藤井:そうなんです。男性上司はその感覚に基づいて女性の部下を叱ったり、注意したりしますよね。しかも、男性は比較的短い言葉で注意を済ませることが多い。すると女性はおしなべて男性よりも感受性が高いので、「人格が全否定された」と受けとめて、何日も引きずったりします。

女性社員を叱ったり注意したりする場合は、その人の行動をきちんと分解してフィードバックしてあげて、その行動について上司がどう感じたのか、どう変えるのが望ましいかと丁寧に説明することが大切です。

これは女性に限らず男性の部下も同じなのでしょうが、行動の様子を的確にフィードバックしてあげれば、部下は「ちゃんと上司は私のことを見てくれているのだ」と理解して、安心します。その結果、上司のアドバイスに従って行動を改善しようとします。

石田:行動科学マネジメントに基づく褒め方・叱り方と同じですね。

コミュニケーションは得意だがチームプレーは苦手

藤井:あと、女性はチームプレーが苦手ですね。

石田:女の人の方が苦手なんですか。女性はコミュニケーションが得意ですから、そこから考えると意外にも感じますが。

藤井:女性はコミュニケーションを通じて相手の感情を読み取り、人間関係を構築するのは得意なんです。でも、チームで適切に役割分担して物事を押し進めるというのは苦手ですね。苦手というより、男性と比較するとチームワークに対する興味や関心が薄い人が多いのだと思いますが。

そのうえ、先ほども申し上げたように空間認識能力の関係から、誰とどう連携すれば自分の仕事が効率よく完了できるかを考えるのが苦手です。このため、自分で抱え込む必要がない仕事を勝手に1人で抱え込んでしまうんです。

私はそういう女性が相談に来られたときは、よくある緊急度と重要度のマトリックスを使って自分の仕事を整理しましょうね、とアドバイスしています。こういうツールは、男性よりも女性に対して効果を発揮すると思っています。

石田:日本企業の女性社員に会うと、おしなべて一人ひとりの能力は高い。なので不思議な感じがします。特に出版社などで新卒採用の話を聞くと、普通に成績順に上から取っていくと、全員女性になってしまうとか。

でも、実際の仕事の場になると、多少事情が変わってくるということですね。

藤井:男性と比較すればの話ですが、女性は感情のアップダウンが仕事の成果に影響する人が多いので、そこも影響しているのかもしれません。なので、私は女性社員向けの研修では「そういう傾向があることを自覚して、なるべく冷静に行動できるよう意識しましょう」と言っています。