派遣労働者派遣法が審議入り
派遣労働の期間制限を一部撤廃する労働者派遣法の改正案が衆議院本会議で審議入りし、安倍総理大臣は、改正案は、派遣会社に対し派遣労働者への教育訓練を義務づけるなど、派遣労働者の雇用の安定や保護を図るものだとして意義を強調しました。
労働者派遣法の改正案は28日の衆議院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入りしました。
この中で、自民党の松本文明前総務政務官は「現行法の下では期間制限によって派遣元と派遣先の契約が終了した時点で、雇用契約が終了してしまうことが少なくない。派遣労働者はいつ『雇い止め』にあうか分からない非常に不安定な状況に置かれている」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「改正案は派遣会社に対し教育訓練を新たに義務づけるなど、派遣労働者のキャリアアップを支援するとともに、正社員になったり別の会社などで働き続けることができるようにする措置を義務付けることで、派遣労働者の雇用の安定・保護を図り、多様な働き方の実現を目指すものだ」と述べました。
民主党の菊田真紀子・幹事長代理は「現在は、同じ職場で派遣労働者を雇える期間を原則1年、最長3年としているが、改正案では、上限を実質撤廃し、3年ごとに人を入れ替えれば、ずっと派遣労働者を使い続けることができる。歯止めがなくなるので、『生涯派遣』の労働者が増えるのではないか」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「改正案では同じ事業所で3年を超えて派遣労働者を受け入れようとする場合には、労働組合からの意見聴取を義務づけている。さらに派遣就労への固定化を防ぐための措置を強化しており、『生涯派遣』の労働者を増やすとの指摘は当たらない」と述べました。
また、維新の党の柿沢未途・政務調査会長は「労働市場の流動化には賛成だが、労働と雇用に関する総合的な制度改革が同時に必要だ。重要なのは『同一労働・同一賃金』の原則を決めることだ」と述べました。
これに対し、安倍総理大臣は「『同一労働・同一賃金』はひとつの重要な考え方だが、能力や責任の大きさなど、さまざまな要素を考慮して処遇が決定されるのが一般的な日本の労働市場では、すぐさまこうした仕組みを導入することには乗り越えるべき課題がある。まずは個々の事情に応じた均衡待遇を推進していくことが重要だ」と述べました。
法改正案でどう変わる?
雇用の形態には▽正社員のほか、非正規のパート従業員やアルバイトなどを企業が雇う「直接雇用」と▽仲介業者を通す「間接雇用」があり、人材派遣会社から労働者を受け入れる派遣労働は、「間接雇用」に当たります。
今の労働者派遣法では、間接雇用である派遣労働は臨時的な雇用形態であり、固定化するのを防ぐためとして企業が1つの業務について派遣を受け入れられる期間を原則1年、最長でも3年に制限しています。
一方、通訳や秘書、ソフトウエアの開発など専門性の高い、26の業務については期間の制限はありません。
今回の改正案では業務の内容にかかわらず、1人の派遣労働者が同じ部署で働ける期間を原則3年までにするという新たな制限を設けたうえで、これまでの派遣期間の制限については撤廃することにしています。
これにより企業は人を替えれば、事実上、何年でも派遣労働者に業務を任せられるようになります。
このため労働組合などからは派遣労働が固定化し、不安定な非正規の雇用を増やすと懸念する声が出ています。
これに対して、経団連など経営側は業務ごとに異なっていた派遣期間の制限がなくなれば、派遣労働者にも仕事の状況に応じて柔軟に働いてもらうことができるとして一定程度、評価しています。
また、改正案では派遣会社に対し、▽派遣労働者への教育訓練や▽派遣先の企業に派遣労働者の直接雇用を働きかけることなどを新たに義務づけています。
政府は、こうした措置により、派遣労働者のキャリアアップが図られ、正社員化が進むとしています。