女性雇用子連れ出勤 困ったときOK 企業、仕事との両立探る
幼稚園が学級閉鎖になり、子供を預けられない――。こうした場合に、社員が子供を連れて出勤するのを制度として認める企業が出てきた。「いざというとき」の利用を見込み、企業にとっても社内保育所などと比べて低いコストで育児中の社員を支援し、人材確保につなげられる利点がある。周囲の理解をどう得るかなどの課題もあるが、政府も女性の職場での活躍を後押しする中、取り組みが注目される。
「周囲の反応も気になったが、思い切って声を上げて良かった」。IT関連会社「サイボウズ」(東京・文京)の社員、河合真知子さん(35)は振り返る。
小学1年の息子は初めての夏休み、学童保育で長時間過ごすのを嫌がった。在宅勤務などで対応したが、実家に頼れない日や会議でどうしても出社が必要な日もあり、そうしたときだけでも子供を連れていけないか会社に相談した。
河合さんの提案をきっかけに、同社は8月、子連れ出勤制度の仮運用を始めた。同月中旬、河合さんともう1人の女性社員が小学1年の男児(7)と保育園児の女児(5)と一緒に出社し、午前9時から午後6時まで働いた。
休憩時に使うラウンジの一角をついたてで区切り、河合さんたちはパソコンを持ち込んで仕事をし、子供たちは宿題やゲームをして過ごした。他社員の了解のもと会議の席でもそばにいさせたが騒ぐこともなく、問題はなかったという。
同社は社員約400人の4割が女性。「何かあったら自分も試してみたい」という好意的な意見が多かったが、「決められた場所以外で子供を見かけた。ルールを守れないなら中止してほしい」という声もあった。
9月には別の社員が1歳児を連れて制度を利用したという。広報担当者は「在宅勤務をするより周囲とコミュニケーションが取りやすく仕事の効率が上がる半面、職場の生産性を下げる恐れもある。仮運用で課題を見極めたい」と話す。
子連れ出勤の先駆的な企業として知られる授乳服メーカー「モーハウス」(茨城県つくば市)は17年前の創業時から制度がある。本社や店舗などで、全従業員の半数にあたる約25人の女性が1歳前後までの乳幼児を連れて働く。勤務時間中、互いに仕事を分担して子供の面倒を見る。
同社が運営に関わるNPO法人「子連れスタイル推進協会」は、子連れ出勤の導入を検討する企業の相談に応じている。人材確保に悩むサービスや福祉関連の中小企業を中心に照会件数は増えているという。
東レ経営研究所の渥美由喜・ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長は「子供の管理・監督に誰が責任を負うかなどの課題がある」と指摘。そのうえで「企業は人材確保が重要になっており、仕事と育児の両立支援のため在宅勤務や時短勤務に加えて、子連れ出勤が広がる可能性はある」としている。