女性雇用社説:女性活躍推進法案 男性の働き方を変えよ
これで女性が活躍できる社会になるだろうか。臨時国会に提出される女性活躍推進法案がまとまった。大企業(従業員301人以上)に女性登用の数値目標を義務付けたが、企業が実情に応じて数値を設定でき、何を公開するかも判断できる。企業の自主性に委ねるだけでは「指導的地位にある女性を2020年までに3割に増やす」という政府目標が達成できるとは思えない。
同法案は経営者に対し、新規採用者や管理職中の女性比率、勤続年数の男女差、労働時間の状況を把握・分析させ、女性の登用促進に向けた取り組みを「行動計画」にまとめ公表することを義務付ける。ただ、数値目標は「倍増する」などあいまいな表現が可能で、数値目標のどれを公開するかも企業が選択できるため、指導的地位にある女性の比率がどう改善されたのか正確に把握するのは難しい。また、「名ばかり管理職」を増やして女性登用が進んだように見せかけてもチェックできないのではないか。
国は必要に応じて助言、指導、勧告ができることになっており、女性の活用が進んでいる企業を公共工事の入札などで優遇することも可能になる。企業任せではなく、政府が強い指導力を発揮して実効性を高めなければならない。
これまでも女性の活用や職場定着を図る施策は行われてきたが、第1子出産後に退職する女性はいまだに6割に上る。非正規雇用で働く女性の割合もほとんど改善が見られない。育児休業制度や短時間勤務制度を企業が取り入れるようになったが、女性社員ばかりが育児・介護休暇制度を利用し、利用期間が長期化することによるキャリア形成の遅れも指摘される。育児をしながら働き続けられる条件は整備されつつあるが、女性が十分に活躍できる状況にはなっていないのである。
正社員の長時間労働は多くの企業で相変わらず行われており、時間外に長時間働くことが難しい子育て期の女性社員が重要な仕事に就けない原因の一つとなっている。日本の男性が育児や家事に参加する時間の少なさは以前から問題となっているが、長時間労働はますます夫から育児を遠ざけているのだ。
女性登用の数値目標にばかり焦点が当てられているが、それを阻んでいる時間外労働の慣行の是正をはじめ、短縮労働や在宅勤務の推進、幼児や学齢期の児童の養育場所の確保、税制や社会保障制度の是正などに政府や企業は本腰を入れて取り組むべきだ。
男性社員の働き方を変えなければ、女性が活躍できるようにはならないだろう。