女性雇用ワーキングマザーの「睡眠の質」を改善する3つのポイント
今年3月に、厚生労働省から「健康づくりのための睡眠指針2014」が発表され、睡眠についての関心がますます高まっている。味の素がワーキングマザーの睡眠の実態について着目し、小学3年生(9歳)以下の子どもを持つ全国のワーキングマザー(402名)を対象に、ストレスと睡眠に関する意識調査を実施した結果、育児と家事、仕事で忙しさに追われ、ワーキングマザーの睡眠が不十分な実態が浮かび上がってきた。
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| ワーキングマザーに聞いた「睡眠」に対する不満の原因。 |
子どもが生まれる前後で睡眠の質に変化があるかどうかを質問したところ、子どもが生まれる前に「睡眠の質に不満がある」と答えた人は15.7%であるのに対し、子どもが生まれた後(現在)は52.0%であることがわかった。この結果から、育児に追われて睡眠の質が下がっていることが伺える。また、子どもが生まれた後に睡眠不満があると答えた人のうち、70%が長子に未就学児童を持っているという結果となり、幼い子を持つ親が睡眠に悩みを持っていることが明らかになった。
続いて、睡眠不満の原因について聞いたところ、1位は「仕事・育児・家事と忙しすぎて睡眠時間が確保できない」で50.7%。時間を作りたいが仕事、育児、家事のため、休息の時間を作るゆとりはないというワーキングマザーの姿が見てとれる結果に。実際にどのような睡眠状況なのか、睡眠スタイルについて質問すると、83.3%の人が子どもと一緒に寝ていることがわかった。出産後は睡眠のとり方が全く変わることが伺える。また、「子どもを寝かしつけながら自分も寝る」という「添い寝型」の中でも、「夜中に起きて家事や仕事をする」という「分断型」が多く、なかなかぐっすり眠れる環境ではないことが示唆された。さらに、生活の悩みを聞いたところ、「昼間眠くなる」が53.7%で1位という結果に。夜にしっかり休息できていないことが昼間の活動に影響を及ぼしていることも明らかになった。
この結果について、睡眠の専門家である早稲田大学のスポーツ科学学術院の内田直教授は、ワーキングマザーの睡眠に危険信号がともっていると指摘する。
「ワーキングマザーの調査結果で出た睡眠スタイルのように、“多忙で睡眠時間の確保”が難しかったり、“睡眠を分断してとる”と、睡眠トラブルが起こりやすくなります。ワーキングマザーの睡眠スタイルは、中途覚醒、早期覚醒、熟眠感の欠如、浅い眠りが多く見受けられる可能性が高いようです。
特に、調査結果では、睡眠中に起きてまた寝るという「分断睡眠」が多いようですが、しっかり休息するという観点から「分断睡眠」はお勧めできません。睡眠は深いものと浅いものを繰り返し、起床に向けて浅くなっていきます。深い眠りは脳を休め、成長ホルモンを分泌する重要な働きがあります。
睡眠を分断してしまうと、入眠時覚醒時には浅い睡眠をどうしても通過せざるをえないので、同じ合計時間眠っても浅い眠りが多くなり深い眠りが少なくなってしまう状況が起こります。深い睡眠時間が減り、疲労感がとれない、翌日のパフォーマンスが低下するなどの影響が出てきてしまいます。
自分の睡眠を一度見直して、“睡眠のリズムを整える”“睡眠の質を向上させる”ように意識して努力することが大切です」
さらに、内田教授は、ワーキングマザーにオススメの快眠アイデアを3つのポイントに分けて解説する。
◎ポイント1「睡眠への意識付け ~生活の改善策~ 」
「睡眠表を書く、または睡眠計測器・アプリを使用するなどして、自分の睡眠を数値化してみましょう。大事なことは自分の睡眠に注意が向くという点です。また、「布団=寝るための場所」と意識づけるために、布団の中では読書をしないなど、睡眠以外の行動を行わないようにすることも良いと思います」
◎ポイント2「明かりの工夫 ~グッズなどを活用した改善策~ 」
「朝は朝日を浴び、夜は明かりを落とし間接照明にするなど工夫するとよいでしょう。とくにお子さんのためにも、夜にビデオを観るなど、強い光の出るものは避けたほうがいいと思います。遅くまでPC作業を行わなければならないワーキングマザーには、ブルーライトをカットするアプリを使用することもおすすめです」
◎ポイント3「家庭内当直制度のススメ」
「子どもが幼いころはどうしてもつきっきりになり、夜起きなければならないことがあると思います。そこで、夫に相談して、一週間に一度でも当直をお願いしてみましょう。子どもが夜起きたときにミルクをあげる、おむつを取り替えるなどやってもらうのです。週一日だけでもきちんとまとまった睡眠時間をとることで体も心もリフレッシュして子どもと接することができると思います」
また、内田教授は、ワーキングマザーの睡眠のポイントは“質”にあると解説する。
「限られた睡眠時間しかないワーキングマザーにとっては、いかに深い睡眠を多く、安定してとるかがポイントとなってきます。深い睡眠に到達するには、寝入りばなに速やかに体温を下げることが重要です。入浴や就寝3時間前の運動などで一時的に体温を上げてから下げる方法や、生活に取り入れやすい方法としては、夕方の運動、夜は部屋の光を落とすこと、アミノ酸グリシンを摂取することがおすすめです」
■ストレスのはけ口は、やはりパートナーである夫
ワーキングマザーの睡眠の実態がわかったところで、次に日頃のストレスについて質問したところ、仕事66%、家事59.4%、育児52.5%の人がストレスを感じていると回答した。ワーキングマザーは仕事・家事・育児と、生活のあらゆる場面でストレスを感じているようだ。
そこでより具体的なストレスによる影響を質問したところ、「イライラ感」「疲労感」を感じる人が55.9%、精神的な影響として、「感情の乱れ」「集中力、やる気の低下」と、肉体的な影響として「肌荒れ」などの回答が目立つ結果に。さらにストレスが増えることによる精神面、肉体面以外の影響については、「イライラして、家族との関係が悪くなった」と答える回答が42.8%となった。ワーキングマザーのストレス増加は、家族関係にも影響を与えている様子がうかがえる。
そこで溜まってしまっているストレスをぶつけてしまう相手について質問したところ、72.7%がパートナー、60.7%が子どもにもぶつけてしまう、と回答。ワーキングマザーのストレスは家族にあたる、という行為となって表われてしまうようだ。しかしイライラが家族に悪い影響を与えていると感じるか質問したところ、配偶者に対してはママの69.6%、子どもに対してはママの73.8%が、悪影響を及ぼすと感じたことがあるという結果になった。ストレスが「イライラ」となり、結果として、実生活に悪い影響(特に配偶者、子どもに対して)を与えているという事実を、ワーキングマザーは認識しているということが浮き彫りとなった。
このワーキングマザーのストレスに関して、メンタル・ジャーナリストで精神保健福祉士の大美賀直子さんは「早い段階でストレス解消をすべき」と解説する。
「“ストレス”は、体調の状況、精神状態など、受け手側の状況によって、負担の感じ方が異なります。ワーキングマザーのように精神的にも肉体的にも厳しい状況の下では、ストレスをかなり感じやすい状態であると言えます。
働く女性は、“母親”、“主婦”、“就業者/会社員等”と役割が多く、忙し過ぎて疲れている傾向が見られます。
調査結果でも、イライラ、感情の乱れなどの精神面、疲労感、肌荒れなどの肉体面ともに、ストレスによる影響が見られますし、そのストレスを家族にぶつけるという結果となり、ワーキングマザーのストレスが、家族にもさまざまな影響を与えているようです。
深刻な問題になる前に、意識してストレスの対処法を取り入れるようにすることをお勧めします。ストレスの対処法は“ストレス・コーピング”と呼ばれ、問題焦点型と情動焦点型に分けられます。
問題焦点型とは、ストレスの問題解決を図ること。例えば、専門家や経験者に相談をしてアドバイスをもらい、問題を解決して状況を変化させること。情動焦点型は気持ちを落ち着かせる、考え方を変える等して、気持ちをコントロールすること。例えば、誰かに悩みを聞いてもらったり、旅行に行ったりして気分転換すること。
どちらか一方ではなく、両方の解決法のバランスが重要です。両方の解消法を上手に使いつつ、ストレスをためこまないようにしていきましょう。そして仕事も家事も全てを完璧にこなそうとすると、ストレスが蓄積し、身体や心に負担をかけてしまうことになります。
また、調査結果から、働く理由は「子どもの教育費」や「家族を養うため」でもあり、安易に仕事を辞めるという選択ができない状況もうかがうことができます」
そこで、ストレス解消に3つのポイントをおすすめしています。
1:「よく眠る」しっかり休息すること
2:「よく話す」ストレスを抱えずに夫や友人と話して問題解決
3:「よくかわす」気分転換などでストレスを“かわす”
ぜひ、ストレスと上手く付き合う方法を身につけていきましょう」
