「正社員登用アリ」の求人広告に騙されるな! 契約・派遣社員の人に知ってほしい採用の裏側

派遣「正社員登用アリ」の求人広告に騙されるな! 契約・派遣社員の人に知ってほしい採用の裏側

こんにちは、キャリアプロデューサーの櫻井樹吏です。

突然ですが、もしあなたが現在「非正社員」として雇用されていたなら、「正社員」へ雇用形態を変えたいと思いますか? もしそうならば、アプローチとしていくつかの選択肢が存在します。

例えば、他社への就職活動。つまり正社員募集を行っている求人に対してアプローチを行っていくという方法です。

そして他の選択肢の1つとして、社内の正社員登用の可能性を探るという方法があります。

実際には、どちらが有利なのか不利なのか。これは、企業ごとの状況、そしてあなた次第で変わってくるものではあります。

では、それぞれどんな特徴があり、気をつけるべき事は何なのか。今回は正社員登用を軸として、非正社員から正社員へレールを変えるためのヒントを探っていきたいと思います。

ずっと同じ会社で働いていたら
社員登用される訳ではない

そもそも社員登用とはなんでしょうか?

まず、登用という言葉を広辞苑で調べてみると「(官職などに)人材を引き上げ用いること」と出てきます。

一般的に使われる社員登用というものは「いずれかの雇用形態から正社員雇用に切り替える」という事をさします。

最近では、たくさんの無料求人誌や有料の求人誌、そしてインターネット上の求人情報サイトにおいて、業種も問わず求人内容に「社員登用制度あり」といった表記を見かけることが多くなりました。

では、こういった表記をしている企業は、実際に社員登用を行なっているのでしょうか。今回は厚労省や就活サイトでのデータではなく、私自身がこれまでお会いした企業のトップや人事部長から聞いた話から、5つのパターンに分けてご紹介します。

パターン1
「社員登用は行っているが、職場の過酷さゆえに社員登用希望者がいない」

パターン2
「形式上は社員登用を謳っているが、実際に採用する気はない」

パターン3
「社員登用はしているが、多くの社員の中から数%なのでごく一部の人だけ」

パターン4
「社員登用はしているが、正社員よりも実績を出している者が対象」

パターン5
「実際に社員登用を行ったが登用した社員が皆、期待ほどの成果を挙げられなかったので、現在は慎重に選考を行っている」

特に、パターン5では「勤続年数が一定以上の社員を登用したが、現状以上の仕事をしようとしなかった」や「社員登用を行ったが、仕事に対する姿勢が受け身のままだった」などの話を多く耳にします。

他のパターンを見ても、登用を行っている企業については「実績」を重んじている企業も多く、中には正社員よりも実績を出していないと登用しないという企業もありました。

この場合、前回の記事でも触れた通り、正社員と比べて与えられている権限の少ない非正社員では、大きな実績を出す事自体が難しい面もあります。

単に勤続年数が長く在籍しているだけや、受け身で指示通りに仕事をするだけでは、社員登用されるのはとても難しいことだとおわかりでしょう。

正社員の求人より高倍率!?
ライバルが多い社内登用の注意点

そもそも非正社員で働くこと自体は、何も悪い事ではありません。世の中には正社員以外にも様々な働き方がありますし、実際に私もフリーランスとして働いています。

現在、自分のやりたい職種で契約社員として働くのが一番だと思うのであればそれも選択肢の1つです。いつかその経験を活かして他社で就職活動をする事も可能です。特にキャリアカウンセラー業務などの求人であれば、業務がある程度限定される分、非正社員での求人が圧倒的に多くなってきます。

ただし、最初から正社員になる自信がないので社員登用を狙って入社をしている、となると登用に至る難易度は跳ね上がります。

例えば、社内登用ではなく一般の企業の正社員求人に応募するのであれば、求人にもよりますが、それ相応の求人倍率が参考になります。ハローワークであれば、応募したい求人の倍率を調べてもらう事も可能です。

しかし社内登用となると、社内の登用を希望する非正社員全てがライバルになる可能性があります。数千人規模の企業の場合では、それは正社員求人で応募するよりもはるかに高い倍率で戦うことにもなりかねません。

まして、そのライバルたちは自分と同様に、ある程度は社内や業務についての知識のある方々です。それぞれに上司の推薦がついている可能性もあります。

ただ単に「最初は契約社員で、のちのち正社員に…」などと気楽に考えているだけでは厳しい世界なのです。

では、実際に社内登用を目指すとすると、どのような点に注意をすれば良いでしょうか。いくつかの項目を挙げていきます。

①そもそも、社内登用を行っているのか

社員登用をしない企業も存在します。社員登用を掲げていたとしても、です。

「登用」をチラつかせるだけで、使い勝手の良い契約社員が欲しいだけかもしれません。まずは、実際に社内で登用の案内や実績があるのかを調べてみましょう。

②社員登用の明確な基準があるかどうか

例えば工場系であればどの手順をどのくらいのスピードで行えばいいのか。営業系であればどのくらいの実績を築いていく必要があるのか。あるいは、実際に過去何人ほど登用されているのか。年間で何人くらいが社内登用されているのかを把握することも重要です。

基準が曖昧であれば、少し覚悟が必要です。この場合は、相当にご自身の実績を上げるか、強力な推薦が必要な可能性もあります。

③社内に有力な味方はいますか?

これは企業ではなく、あなた自信のお話になります。

会社は人間関係の集合体です。どんなに素晴らしい利益や業務フローの改善、実績を残していても、それを推薦してくれる人がいなければ表には出ません。あなたが「社員登用」で正社員を目指している事を理解してくれている方は何人いますか?同僚や後輩ではありません。きちんと上層部へと推薦してくれる力のある方です。

会社の規模にもよりますが、ある程度の管理職やリーダーなどでしょうか。こういった推薦をしてくれる方こそがキーマンになります。

これは登用だけに限らず、昇進や昇給でも同じ事です。もし現時点で、権限のある方との人間関係を作ることがハードルになっている場合、今回は正社員になれたとしても昇給、昇進など、先々にハードルが待ち構えている事になります。正社員登用をされた時点で、同じ部署や同じポジションで継続して業務をする可能性は低いからです。周囲との人間関係も変わってきます。関係の構築が必要になります。

社員登用の為に、業務などに力を入れている方は、ぜひ人間関係も改めて確認をしてみてください。

④自分の客観的な評価を受け入れていますか?

自分の評価を聞いてみるという事も大切です。人はどうしても自己評価を勝手に上げてしまいがちです。もし、自分では「社員登用に足る働きをしている」と感じていても客観的な評価は違うかもしれません。直属の上司始め、人事部長や役員。そういった方ともしお話しができた際には、社内登用に当たり、自分の評価や自分に何が足りていないかを聞いてみるのも手です。

そうする事で「社員になりたい」というアピールができる事にもなります。いずれにしろ「社員になりたい」という意向を前に出してから、初めてその目的地までの距離が分かるといっても過言ではありません。

正社員求人を受ける際の注意点

では逆に正社員として就職活動をするのはどうでしょうか。

早めに正社員になりたいのであれば、はじめから正社員で受けてみるのも手です。ただし、ここではもちろん実績が求められます。前職までに何をやってきたか、なぜ正社員として働いて来なかったのか等の理由も必要です。そもそも、面接などで不採用になるかもしれません。

しかし、これらを超えた先には「正社員」が待っているので、きちんと準備をすれば社内登用を待つよりもスマートに雇用形態を変えるチャンスでもあります。

ただし、忘れてはいけないのが、採用に当たっての試用期間です。つまり最初は正社員で雇用されたとしても実際に現場での働き方次第では結局、試用期間満了という結果もあり得るのです。

そうなった場合、就職活動を継続して行う為の体力面や精神面での疲労が生じてきます。在職中の就職活動ならまだしも、勢いで現職を退職してから応募をしてしまうと採用されるまで収入がなくなるという事もあり得ます。

正社員への応募と社内登用。

いずれにしても社内での自分自身の働き方が重要という意味では、大切な事は同じようです。

最後に武器になるのは
自分の「本気」と「覚悟」

とはいえ、あなた自身のベクトルが「正社員」に向いているのであれば、それが最大の可能性の種となりえます。今が非正社員であったとしても、まずはご自身が正社員になったつもりで働いてみてはいかがでしょうか

普段よりも本気で行動を起こす事により、トラブルやミスも増えるかもしれません。しかし、あなたの意識や周囲からの評価はそれまでとは大きく変わってくるはずです。

もし、最終的にその会社で正社員としての縁が無かったとしても、「本気」と「覚悟」を持ったあなたであれば、求めている企業があるはずです。どんな形であれ、きっとあなたに次のステージが開けてきます。

正社員の先にある目標に向かい、あなたらしく輝ける様に心から応援をしています。