ダイバーシティ推進の鍵は管理職の意識

女性雇用ダイバーシティ推進の鍵は管理職の意識

終身雇用制度が崩れ始め、誰もが「自分らしい働き方」を模索する時代がやってきました。私たちの働き方はこれからどのように変わっていくのでしょうか? 経済産業政策局・経済社会政策室長の坂本里和さんに、これからの女性の働き方について教えていただきました。

私は現在、「ダイバーシティ経営企業 100選」などのプロジェクトを推進しています。文字通り、ダイバーシティ経営に意欲的に取り組む企業を経済産業省が選定する取り組みです。こうした取り組みを通じて感じるのは、ダイバーシティ推進のカギを握っているのは、両立支援制度の導入ももちろん大変重要なのですが、それ以上に、現場のマネジメント改革だということです。

多様な人材活用に取り組むインセンティブを管理職側に与えないと、ダイバーシティはなかなか進まないと感じています。例えば、多様な人材活用を管理職自身の評価項目として追加するといったことは効果的な試みの一つです。

 

 

■IT技術の進化でワークとライフの距離が近くなる

女性の活躍にとって、多様で柔軟な働き方を推進することはとても重要です。その代表的なものに「モバイルワーク」というものがあります。

これは、オフィスに限らず、時間や場所に縛られずにIT技術を活用して働く形を指します。具体的には携帯電話やノートパソコン、さまざまなファイル共有の仕組みなどを用いて時間や場所の縛りを極力排する働き方ですね。このモバイルワークも浸透の壁になっているのはセキュリティーの問題よりも、マネジメントの意識の問題だといわれています。

部下が目の届く範囲にいないと不安、部下の仕事ぶりを自分の目で見て管理したい――こうした思いをマネジメントが抱いているとなかなか浸透しないのも道理です。

日本マイクロソフトでは自社製品を使って積極的なモバイルワークに取り組み、単位時間あたりの売り上げが17%向上したそうです。例えば、営業の外回りをしていて、レポートを書くために会社に戻らないといけないということになれば移動の時間が余計にかかりますが、モバイルワークができれば家でも喫茶店でもどこでも仕事ができる。生産性が向上するという結果が見られます。

こうしたモバイルワークを導入するにあたっては評価の在り方も変えていかなくてはいけません。職場に長くいる人ほど評価されるような価値観から脱却しないといけないということです。

時間の長さではなくあくまで「成果」で評価するためには、一人ひとりが自律的に働ける状態になることが重要です。企業側も個人にある程度の裁量を与えることが求められます。

「自律的に働く」というのは、業務を属人化させようということでは決してありません。社員のワークライフバランスを考えると、なるべく業務は属人化しないほうが望ましいのです。そこでやはり重要なのが「モバイルワーク」です。属人化させるとその人は職場を離れられなくなってしまいますが、IT技術を使って情報共有を行うと誰でも同じ知識を持って事に当たることができるようになります。その人は必ずしも職場にずっといなくてもよくなります。

 

ある程度、ひとりひとりの担当が決まっていてその人がやり方も含めて自律的に働くことができると同時に、情報をシェアすることが重要ということです。

 

私のチームにも、少し前まで、ワーキングマザーで、週3日在宅勤務をしている人がいました。最初はお互い手探りの部分もありましたが、慣れてしまえばオンラインでのやり取りが増えることで記録に残りますし、ペーパーレスにもなる。互いにこまやかに情報共有するようになり、かえって業務の進行にはプラスになったように感じています。

 

「ワークライフバランス」というと、1日24時間をワークとライフで切り分けるような印象がありますが、テクノロジーの進化で働く時間や場所を自由に選べるようになると、ライフとワークが、個々の事情に応じて最適な形でミックスされていくようなイメージを持っています。

例えば、家で子どもの様子を見守りながら業務のメールをチェックするといったことができるわけです。一般的には女性のほうがこうしたマルチタスク(家事こそ最たるものですが)は得意と言われていますから、未来は女性にとって、より働きやすいものになっていくのではないでしょうか。