女性雇用男女ともに必ず知っておきたい、育児休暇にまつわるデータと知識
労働力不足が深刻化する中で、育児と仕事の両立に理解を示すリーダー「イクボス」の役割が注目されています。では、育児と仕事を両立させていくためには、具体的にはどんな課題があるのでしょうか?
今回は、パーソルグループがNPO法人tadaima!、NPO法人Arrow Arrowと協業で開催した「未来のイクボス」研修の講義から、育児と仕事を両立するための課題を、驚くような調査結果やデータを交えながらご紹介します。
※この記事は「未来のイクボスに求められる『2つのチカラ』とは?」の続編です。
講師:三木智有さん
NPO法人tadaima!代表理事。2006年、フリーランスのインテリアコーディネーターとして活動を開始。人にアプローチして住みやすい家を創るため、2011年にNPO法人tadaima!を設立。
「ただいま」と帰りたくなる家庭を実現するには男性が家庭をもっと楽しむ必要を感じ、 「関係(家事シェア)」と「環境(インテリア)」の両面からサービスを展開。10年後も「ただいま!」と帰りたくなる家庭にしよう!をスローガンに、家事シェアを広める活動を行っている。「花王社会起業塾イニシアティブ2011」選出。
仕事と育児の両立の難しさを描いたサイボウズの動画「大丈夫」
ここからは「育児と仕事の両立の課題って何?」ということで、実際みなさんに考えていただくようなことを、やっていきたいと思います。はじめにひとつだけ、動画をご覧ください。サイボウズさんがつくった動画で、タイトルは、「大丈夫」です。
僕もこの動画は何度も見ているんですけれども、毎回見るたびに、娘が熱を出して大変だったときのことを思い出したりして、胸がつまります。もしかしたら、お子さんのいらっしゃる方だと、今のような状況をに実際経験されていたりだとか、もしくは自分のパートナーがそういった経験をされている方もいらっしゃるのかなと思います。
または、自分自身ではなくとも、自分の一緒に働いているメンバーがこのような課題を感じていて、「今日急いで帰らなくちゃ」とか、「急に呼び出しがかかってしまったから、申し訳ないけど帰らせてもらいたい」とか、そういったこともあるのかなと思います。
「全部わたしがこなすのは無理」育休復帰ママからのリアルな声
これまでのワークショップやヒアリングでは、育休復帰後のママからこんな声があがりました。
- 家事育児、全部わたしがこなすのは無理。
- 子どもと向き合う時間、仕事する時間、眠る時間……とにかく時間が足りない。
- 子どもの発熱……こんなにしょっちゅう熱を出すとは。
- とにかく、体力を消耗する。
- 土曜保育の利用ハードルが思った以上に高かった。
- お迎え時、仕事道具、子ども、そして買い物袋をぶら下げた帰宅までの5分が辛すぎた。
「両立をしなくちゃ」ということで、必死になって頑張っているという人たちも、たくさんいると思います。ここからは、育児と仕事の両立にはさまざまな課題があるということで、その課題を乗り越えるために必要な「2つのチカラ」をご紹介したいと思います。
課題を乗り越えるために必要なチカラ1.ライフシップ力
1つ目は「ライフを楽しむ、家族と協力し合うチカラ」ということで、この力を「ライフシップ力」と名付けました。
課題を乗り越えるために必要なチカラ2.チームマネジメント力
そしてもうひとつが、「リーダーとして、業務もメンバーのライフシップも大切にできるチカラ」として、チームマネジメント力を挙げさせていただきました。
両立のためには、「自分のライフを楽しむというチカラ」と、「チームをマネジメントしていくチカラ」、この二つのチカラが必要になると考えています。未来のイクボス研修では、この2つの力の向上や、意識改革を目指して、研修を行っていきます。
男性の育休取得が家族を救い、チームの両立を促進させる
ここからは「男性の育休取得」という観点から、男性の育休取得からみるライフシップ力と、チームマネジメント力を身に付ける研修の一部を紹介していきたいと思います。
まず「男性の育休取得が自分の家族を救い、チーム内の両立理解を促進させる」ということで、いくつかクイズを出したいと思います。
男性の育休取得率は約3%
みなさん、男性の育休取得率がいくつくらいかご存知でしょうか?正解は、3.16%になります。はじめに、若い世代の6~7割くらいが育休を取りたいというアンケート結果があったんですが、実際に取れているのは3%ということで、かなり少ないということが言えます。
そもそも育休ってどんな制度なの、ということでざっくりご紹介すると、「原則、1歳になるまでの子どもを育てる、男女の従業員を対象とした休業」ということで、当然男性でも取ることができます。
妻が専業主婦の家庭でも、夫は育児休業を取得できる
では、もうひとつクイズを出したいと思います。「妻が専業主婦の家庭だと取れませんか?」ということで、どうだと思いますか? はい。妻が専業主婦であっても共働きであっても、育休中であっても、夫は育児休業を取得することができます。
育児休暇は、男性に限り条件付きで2度取ることができる
では次のクイズです。知らない人は知らない、知っている人は知っているかもしれない。「男性に限り2回取れるって本当?」
正解は、取れるんです。育休は一回だと思われがちなんですけれども、実は男性に限って二回取ることができるんです。ただし2度目の育休を取るには条件があって、妻の産後8週間以内に、夫が育児休業を取得することが条件です。
ということで、実際に男性が育休を取ろうかという話になったときに、取るためのパターンというのがいろいろあります。1回しか取らないというタイプもあれば、ママの育休が終わるころにバトンタッチのような形で二回取るよ、という形もあります。
いろんな取り方ができるので、それぞれの家庭のライフスタイルに合わせたり、繁忙期は避けようだったりとか、そういうフレキシブルな取り方ができるいうことを、ぜひ知っていただければと思います。
育児休暇は「休日」ではなく、復帰のための準備期間
次にここからは「ライフシップ力を高めるための研修」の一部をお伝えしたいと思います。
育休というと「育児休業」なので、お休みなんじゃないかというふうに認識される方々というのが多いかなと思います。これは、育休を取る側もそうですし、育休を取ってない他のメンバーの認識としても「休みなんだよね?」という認識がまだ強いと思います。
ただ、実際取られた方は分かると思うのですが、育休というのは復帰のための準備期間なんだとということを理解しておいていただきたいと思います。
決してただボーっと休んだりだとか、子どもの相手をしているだけではなくて、復帰のための準備をする期間ということですね。両立が辛くならないためにも、周囲も自分自身も、そのような認識を持っていただければと思います。
半数を超える女性が、産後に離婚を考えたことがある
次に、パパを育児に巻き込まないとどうなっちゃうのか、ということをご紹介します。積極的に家庭にコミットしないお父さんがいましたら、ドキっとしてしまうようなデータもあるかと思いますので、ぜひご覧ください。育休中の罠ということで、「産後に離婚の2文字が浮かんだことがありますか?」という質問を、産後のママさんたちに聞いたアンケート調査があります。
産後何パーセントくらいのママが、今後この人とは離婚だと思ったか。せっかくだから、女性の方に聞いてみましょう。何パーセントくらいの方が離婚したいと思ったと思いますか?
会場の女性:
70%。
三木さん:
……高いですね~(笑)。正解は、52%になります。結婚している家庭の半分くらい、「もう離婚だ!」と思ったことがある、ということなんですね。
「他殺による死亡者数」が一番高い年齢と、その悲しい理由
そしてもう1つ。ちょっと暗い話になるんですけれども……「他殺による死亡者数」が一番高い年齢をご存じでしょうか?では、こちらのグループの方。
会場の男性:
60歳くらい。
三木さん:
ありがとうございます。正解は、0歳児、なんですね。
基本的に年齢が上がるほどに高くなります。ただ「他殺」なので、これは事故や病気は含みません。他殺というとどうしても思い浮かぶのが、人間関係のもつれやお金の問題というのが大きいかと思うのですが、もちろん0歳児では、そういったものはないです。
何が原因かというと、子育てですね。最近の言い方で言えば、「ワンオペ育児」のような状態がひとつの原因じゃないかと言われています。
やはり、子育てしている方はなんとなく分かると思うのですが、生まれたばかりの小さい子、初めての子だったりすると、その子をどう扱えばいいのかだとか、どうやったら泣き止むのかとか、どのような力加減で何をしてあげたらよいのかとか、細かいことが分からないんですね。
そういうときに「命を預かっているんだ」というプレッシャーがかかると、とても大きなストレスを抱えてしまう。それをパートナーと共有できないというのは、すごく辛い状況なんだということを、このデータからも、ご理解いただければと思います。
女性の愛情は移り変わる 大きな転機は「出産と育児」
「女性の愛情は移り変わるらしいぞ」ということでですね、こちらのグラフを見ていきたいんですが、これは女性の愛情がどういうふうに移り変わっていくか、というのを調査した東レ経営研究所の研究結果になります。
横軸が子どもの年齢です。独身時代から、子どもが高校入学まで。縦軸が、愛情の強さです。単位はパーセンテージですね。見ていきたいのは、夫や彼に対しての愛情、ピンク色のグラフです。
まず、夫や彼に対する愛情が一番高いタイミングは、結婚直後で約50%くらいですね。
ここからですね、一気に愛情が急降下します。これがなんのタイミングかというと、出産直後のタイミングになります。
で、このタイミングは、その代わりあがってくるブルーのラインがありますが、これが「子どもへの愛情」ですね。子どもへの愛情がすごく高まっていて「旦那さんどころじゃないわ」といった状態が、この出産後のタイミングになります。
妻からの愛情が回復する家庭とそうでない家庭の差は?
そして、問題はその先ですね。「愛情が回復してくグループ」と、点線で示された「緩やかに下降線をたどっていくグループ」とに分かれてしまう。
このグループがどんな形で分かれているかというと「産後のパパの家事育児への関わり方」なんですね。産後のパパの家事育児への関わり方が、長い目で見たときに、妻からの愛情に深く関わっています。
ということで、パパ自身も、自分の家庭を考えた際には、何かしらの形で家事なり育児なりに関わっていかないと、妻自身の負担にもなるし、子どもにも影響を及ぼしてしまうかもしれないということを、ぜひみなさんには覚えていていただきたいなと思います。
育児と仕事をうまく両立させていくために
【編集部より】
ここまで、パーソルグループがNPO法人tadaima!、NPO法人Arrow Arrowと協業で開催した「未来のイクボス」研修の一部をご紹介させていただきました。育児と仕事の両立について、初めてお聞きするようなお話も多かったのではないでしょうか?
NPO法人tadaima!が実施する「tadaima!式ライフシップ研修」では、夫婦のパートナーシップやコミュニケーションの促進をするための「家事育児のシェア」や「夫婦のキャリアビジョンをすり合わせる練習」「すれ違いを減らすためのコミュニケーションの方法」「両立に向けた我が家のチーム化」などを実際の研修では行っていきます。
NPO法人Arrow Arrowでは、妊娠・出産・子育て・介護などのため仕事から離れているものの、ゆくゆくは社会復帰をしたいと考えている女性に、一歩踏み出すきっかけを持ってもらうためのプログラム「ママインターンプロジェクト」を実施しています。
興味を持った方は、ぜひ各団体の公式WEBサイトをご覧ください。
- PERSOL(パーソル)グループ https://www.persol-group.co.jp/
- NPO法人tadaima! http://npotadaima.com/
- NPO法人Arrow Arrow http://arrowarrow.org/


