人事システムで行う業務のうち、7割以上がロボットで代替できる

AI人事システムで行う業務のうち、7割以上がロボットで代替できる

2017年も終わりが近づいてきました。“RPA元年”と言われた2016年から2年が過ぎようとしています。これまで、本連載では「企業がRPAを効果的に導入するためにはどうすればいいか」というテーマでお話ししてきましたが、今回はいよいよ、弊社が検証した人事業務へのRPA導入のケーススタディをご紹介します。

人事システムで行う業務のうち、7割以上がロボットで代行可能

本連載の1回目で触れたように、労働人口が急速に減少していくなかで「働き方改革」を推進していくには、まずは、人事部門の生産性を向上し「働き方改革」を推進するための施策検討、実行のための時間を作り出すことが重要です。

しかし、人事部門における業務の内訳を見てみると、定型的な業務に時間を費やしている割合が高いことが多いという課題があります。大量のメール送付やExcelへの転記、集計などの煩雑な手作業に日々追われ、ミスも多くやり直しが発生するため、残業で対応することが多くなります。

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人事部門における業務の内訳を調べたところ、煩雑な手作業に日々追われていることが分かりました

もちろん、そういった業務も重要なのは理解できますが、定型業務に時間を取られることで、「働き方改革」を推進するための戦略立案といった、会社の“未来”を考える時間がとれていないのです。

このような人事部門の現状を改善するために、弊社では、RPAテクノロジーズの「BizRobo」を活用し、SAP HCMを利用した人事業務をロボットに代行させるRPAソリューション「HRRobo For SAP HCM」を開発しています。弊社が開発時に実施した業務フローベースでの適用分析では、SAP HCMの人事、給与業務のうち、7割以上の操作や運用がロボットで代行可能という結果が出ています。今回はHRRoboの導入効果の一部をご紹介しましょう。

HRRoboは人間に比べて「20倍以上」の生産性

例えば、給与口座の登録、変更処理。単純な作業のように見えるかもしれませんが、この中にも入力、検索、集計、検証、登録といった煩雑な作業が多く含まれています。これを人間が対応した場合、一般的には1件あたり約10分ほどかかるのですが、HRRoboが行うと1件あたり約30秒でミスなく処理できます。人間と比べて、実に20倍以上の生産性を誇ります。

他にも「通勤交通費の変更処理」でも大きな効果が確認できています。こちらは細かく分けると、

  1. 変更届の受領
  2. 記載内容の過不足確認
  3. 本人への連絡
  4. 経路検索サイトを使った適正経路の確認
  5. 定期券金額の確認
  6. 払い戻し金額の算出
  7. 新規定期内容の人事システムへの変更登録

といった処理が必要になります。これら一連の作業をHRRoboに代行させたところ、従来人間が7分程度かかっていたところを約1分と、7倍の速さで対応することができるようになることが分かっています。

HRRoboはSAP HCMだけではなく、全ての人事システムに対応できます。これから新年度に向けて、新入社員への給与口座や通勤交通費の登録といった業務に追われる人事部門は多いでしょう。そういった方々に、ぜひRPAを検討してもらいたいと思っています。

自律的に業務プロセスを改善するRPAが2021年に登場?

画期的な導入効果が確認できる事例も出ているRPAですが、今後はどのように進化していくのでしょうか。日本RPA協会の発表によれば、現時点のRPA技術は「Class1」と定義されています。定型業務を自動化する一方で、例外的な対応については人間のサポートが必要――という状態です。

photoRPAのレベルはClass1からClass3までの3段階に分かるといわれています(出典:KPMGコンサルティング)

次の段階である「Class2」は、AI(ディープラーニング)などとの連携によって、非構造化情報も扱えるようになり、非定型の業務も、一部代行可能なレベルになるとしています。現時点でも、AIで手書き文字を認識して入力するという事例も出てきていることを考えると、Class2はそう遠くないうちに実現できると感じています。

そして、当面の最終段階である「Class3」では、RPAが高度なAIと連携し、業務プロセスの分析、改善から意思決定までの自動対応が可能となる「高度な自立化」を果たします。現時点の見込みでは、2021年ごろまでにはこのレベルに到達するのではないかといわれています。

RPAは進化するからこそ、管理が重要になる

RPAの技術は日々進化しています。今後はさらに高度なロボットが誕生し、対応できる業務の幅も広がるでしょう。今でこそ、RPAは知る人ぞ知るツールかもしれませんが、労働人口の減少に伴い、労働力不足が深刻化すれば、不可欠なソリューションとなるはずです。

また、そこで活躍するロボットが(ある程度)自律的な判断を行うようになるならば、その管理は今まで以上に重要になるでしょう。自立したロボットを放置すれば、RPAの導入効果が薄れるだけではなく、仮に想定外の動きを行ってしまった際に、逆効果になってしまう事態もあり得るためです。

だからこそ、RPAは導入時の段階から、将来を考慮しつつ、ロボットの集中管理を考えながら導入することが重要だと私は考えます。前回お話しした、ロボットセンターや「Robotic Life Cycle Management」の考え方は必須になると言っても過言ではありません。

4回にわたって続けてきた連載は今回が最後となります。これからRPAを導入しようとされている方や、RPAを導入したけれど、あまり効果が出ていないと感じているユーザーの方、あるいは、これからRPAビジネスに取り組もうと考えるベンダーの方など、さまざまな方にとって、RPA検討の一助になれば幸甚です。