女性雇用クラウド名刺管理サービスSansanが社員の保育園料の全額補助に踏み切った理由
クラウド名刺管理サービスで知られるSansan株式会社が、産前産後休業・育児休業取得者の早期職場復帰を後押しすることを目的とした人事制度「MOM(マム)」を開始。「保育園料全額補助」や「入園予約金の補助」など注目の内容が盛り込まれている。ベンチャー企業ならではの思い切った取り組みへの思いを聞いた。
■「MOM」とは
Sansan株式会社による新しい人事制度「MOM」は、正式には「Measures Of Maternity」。直訳すれば「マタニティ対策」となる。産休・育休を取得した女性社員に対して、早期の職場復帰を後押しするものである。
MOMには次の4つの支援が設けられている。
1.保育園料全額補助
認可/認可外にかかわらず、子どもが満3歳を迎える月までの保育園料を全額補助(上限15万円まで)。
2.タクシー費用の補助
保育園が通勤ルートから外れた場所にある場合、自宅~保育園~最寄り駅間の移動にかかるタクシー費用を月額4万円まで補助。
3.入園予約金の補助
認可外保育園への入園申し込みにかかる予約金を総額10万円まで補助。
4.保活コンシェルジュの利用補助
子どもの預け先が決定するまでの期間、外部サービスの保活コンシェルジュ(保活代行サービス)を利用した場合にかかる費用を補助(費用は会社負担)。
Sansan株式会社の担当者によると、この制度発案の背景には次のことがあるという。
「近年、事業成長とともに、産休・育休を取得する社員の人数が増えてきました。全員が弊社のミッション達成のために貴重な戦力であることから、会社としては早期に復帰して活躍してほしいという思いがあります。
しかし、待機児童問題が壁となり、本人が1日も早い復帰を望んでいるにもかかわらず、子どもの預け先がないという理由でそれが叶わないというケースが相次いでいました。そこで、会社として何かできることはないかと動き出したのがきっかけです」
■保育園料「全額補助」の思い切った選択
保育園料については、数年前から「6万円を超える保育園料について上限3万円まで補助する」という一部補助する制度はあったものの、早期復帰を後押しする効果はなかったという。
「弊社にベビーラッシュが訪れたことをきっかけに、もっと現実的に復帰をサポートできる制度について考えました。保育園料は月数万円から月10万円以上となることもあります。もし費用面がハードルとなって預け先が限定され、職場復帰が遅れてしまうのなら、そこを会社がサポートすることで費用面・復帰のスピード両方を解決できるのではと思い至りました。
特に弊社のようなベンチャー企業は、育休社員の職場復帰のスピードは事業成長に直結しますし、何より早期に復帰したいと思ってくれる社員を何とか後押ししたいという思いがありました」
「タクシー代補助」を設定したことについても、次のような考えがあるという。
「少しでも保育園の選択肢の幅を広げてもらうために設定しました。自宅から通いやすい保育園だけを候補にすると、なかなか預け先が見つかないという声があり、自宅から通いにくい場所も候補にできるようにと考えました」
ちなみに現在、Sansanの社内では、次のような状況だという。
「MOMを使って復帰した社員はまだおりませんが、1名が現在保活コンシェルジュサービスを活用し、情報収集を行っています。育休中のメンバーはMOMの利用を前提に、幅広い選択肢の中から保活を行っています」
■「子の預け先が見つからず復帰できず」が24.3%
職場復帰が思い通りにいかない女性社員はSansanだけに留まらない。都市部に住む産休または育休を取得したことがあり、休暇取得当時に正社員として働いていた20代〜30代の女性を対象に行われた自社アンケートでは、次のような結果が得られたという。
いずれも子の預け先が見つからないことが思いのほか大きな壁となっている現状が分かる。
●休暇前に勤めていた職場に復帰しなかった理由

勤務時間や勤務地などの問題も多いが、子の預け先が見つからず職場に復帰しなかったというケースも比較的多い。
●希望する時期に職場復帰できなかった理由

希望する時期に職場復帰できなかった理由が、「子の預け先が見つからなかった」という人が半数にも上っている。やはりこの問題は大きいことが分かる。
●職場復帰にあたり、あれば良かったと思う会社からのサポート
勤務条件に関わるサポートを望む 62.0%

勤務先からのサポートに望むものは、勤務条件と費用補助が多い。
出典: Sansan株式会社「産休・育休後の職場復帰に関するアンケート」(2017年10月16日~17日)
取材協力
Sansan株式会社
人事制度「MOM」について Sansanオフィシャルブログ
https://jp.corp-sansan.com/blog/2017/11/MOM-2017.html
