採用にAI導入で人事がなくなる? ソフトバンクが選考に取り入れ

AI採用にAI導入で人事がなくなる? ソフトバンクが選考に取り入れ

6月1日に「選考解禁日」を迎え、学生たちは就職活動に勤しんでいる。今年はソフトバンクが選考にAIを導入すると発表し「AI採用元年」となったが、実は新卒採用だけではなく、転職や異動など人事の現場で続々とAIが導入され始めている。

 このような採用や人事分野におけるAI導入の流れは、社会的にどのような影響を生むのか。京都大学大学院・情報学研究科の西田豊明教授は、企業と働き手の関係の変化が起こるのではないかと予想する。

「表情や視線、声質など非言語コミュニケーションをAIで分析したいというニーズが高まれば、面接現場にはデータ収集のための各種センサーや、ロボットが使われ始めるかもしれません」

日本で最も有名なロボット・ペッパーは、すでに表情や音声などから人間の機嫌や感情を一部読み取るレベルに達している。それらロボットが面接の現場に登場したらどうか。恐らく、人間の採用担当者には通じていたような嘘や、取り繕った体裁が通じなくなるはずだ。そして、その先には新たな社会問題が浮上する可能性がある。

「仮にそうした状況になれば、採用される側は知られたくない情報も含め、すべての個人情報を“正直”に企業側に提供しなければいけなくなる。企業に常に正直でなければならないというのは、労使関係やプライバシーの観点から、議論を呼ぶでしょう」(西田氏)

人間関係ではときに“潤滑油”としての嘘も必要となるが、それが少しでも許されないとなると、また問題だろう。

一方、「人事部門自体にも大きな変化が訪れる」と指摘するのは経済評論家の加谷珪一氏だ。

「一般的に企業の人事部門は意外とカネ食い虫だと言われています。もちろん、人事が機能してこそ企業は成り立つのですが、経営側としては無駄なコストは極力カットしていきたいはずでしょう」

加谷氏は、AIが2つの段階を踏みながら、人事部門を変えていくのではないかと予想する。

「短期的には膨大な事務作業が削減されていくでしょう。これは、各企業が見通している通り。ただ長期的には、人事部門そのものが縮小していくシナリオも考えうる。日本企業の人事部門は、人材を見抜くことに長けた優秀な人事マンと、反復的な事務作業をこなす働き手で成り立っている。他の職種にしてもそうですが、後者の仕事はAIに代替されていくでしょう」

AIの普及とともにニッポンの会社は変わっていきそうだ。

【西田豊明氏】
京都大学大学院・情報学研究科教授。総務省「AIネットワーク社会推進会議」構成員、理化学研究所AIP「人とAIのコミュニケーション」チームリーダーなどを務める

【加谷珪一氏】
経済評論家。中央省庁や政府系金融機関などでコンサルティング業務に従事する傍ら、経済・金融などの分野で精力的に執筆活動を行う。著書に『戦略的に出世する技術』など

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