女性雇用「子育て社員」に優しい100社ランキング 育休取得者数が多い会社はどこ?
2016年の「ユーキャン新語・年間流行語大賞」の年間大賞「神ってる」とともにベスト10として選ばれた「保育園落ちた日本死ね」。賛否両論あるが、子どもが保育園に入ることができなかった母親の切実な思いが伝わり、待機児童の多さが改めて大きな社会問題として認識されたことは間違いない。
ただ、厚生労働省の発表によると、2016年4月1日時点の幼保連携型認定こども園等を含む保育所等の定員は前年比10万3000人増の263万人。さらにその前の年と比べても20万人近い増加で、政府や自治体が保育園等の整備を怠っているわけではない。共働きが一般化し、子育てをしながら働くことが普通になり、子どもの数が年々減る一方で保育施設のニーズは高まり、なかなか整備が追いつかないのが現状のようだ。
1位の三菱UFJFGは2229人が取得
共働きが増えているのは大手企業も同様だ。子育て社員の存在感が高まる中、これまでの働き方を見直す会社も目立ってきた。今回は『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2017年版の最新データを使い2015年度の育児休業取得者数のランキングを作成。女性取得の状況を中心に大手企業の取り組みをご紹介していこう。

共働き世帯が増える中、子育て支援の充実が求められています(写真:kikuo / PIXTA)
また、育児休業取得者の比較対象の参考値として、『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』掲載の世代別の30代女性従業員数も一部ご紹介していく
取得者が最も多かったのは三菱UFJフィナンシャル・グループの2229人だった。うち女性取得は1994人。三菱東京UFJ銀行以外の三菱UFJ信託銀行などとの合算取得者の開示となっている。
同社の育児休業は「子が満2歳まで」と法定の最長1年6カ月よりも長い。産休は産前26週間、産後8週間と法定の産前6週間より20週も多い。安心して職場に戻れるよう休職前研修・面談を実施。休職中の過ごし方・復職後の働き方を考える機会を提供している。
長期取得だけでなく、キャリア面などを考慮し短期間で復職する場合は「早期復職託児補助制度」といったサポート制度もある。
他にもシッター業者と法人契約を締結し、預け先を確保しやすくし、安心して仕事に取り組めるようサポート。さらに、ダイバーシティ・マネジメント研修で復職者を受け入れる上司に家庭と仕事の両立を目指す社員の育成・マネジメント手法の教育も行っている。

2位は日本生命保険1922人(うち女性1582人)。一般的に育児休業がもっとも多いと考えられる30代女性社員は12418人。仮に女性取得者1582人の80%(1265人)が30代とすると10人に1人が常に育児休業で職場を離れている計算になる。
入れ替わりが多いため、スムーズな職場復帰ができなければ職場全体の戦力は落ちてしまう。そこで、同社は短時間勤務やフレックスタイム、育児サービス費用の補助、病時保育機関との業務提携など幅広い支援制度で育児と仕事の両立を応援している。
最近は女性だけでなく、全社員(7万519人)の10.4%(7321人)と少数派である男性の取得にも力を入れる。「男性職員の育児休業7日程度取得」を目標に掲げ、2013年504人、2014年264人、2015年340人と3年連続で100%取得を達成。もっともほぼすべてが1週間以内で「始まったばかりの状態」とも言えるが、第一歩としては評価できる。
3位は日本電信電話(NTT東日本・西日本など主要会社を含むデータ)で1632人。うち女性が1574人と96.4%を占める。育児休業は生後満3歳まで可能。さらに産休・育休中に自宅から社内のサーバーへアクセスできるなど会社との一体感が継続できるよう配慮している。休職前後の上司やダイバーシティ推進室との面談やキャリア形成研修も実施し、スムーズな職場復帰を後押しする。
4位はみずほフィナンシャルグループの1425人(女性943人)。育児休業は子が2歳に達するまで取得できる。さらに、上司による休業前・休業中・復職前・復職後面談の実施や自宅で学習可能なeラーニング講座の提供なども実施する。
上位企業は職場復帰がしやすい環境づくりが進展
育児と仕事の両立に向けたノウハウ提供や社員間ネットワーク構築のための「両立者支援セミナー」「ダイバカフェ」「育休者サロン」等の開催といった積極的な活動を行っている。育児休業復職率は2013年度の91.1%から2015年度98.1%へ7ポイント増と職場復帰がしやすい環境がより進んでいるようだ。
5位は三井住友フィナンシャルグループの1262人(開示は三井住友銀行)。このうち女性は796人で育児休業取得率は96.6%。保育園に入園できない場合、最長2歳まで可能な「育児休業」、結婚や配偶者の転勤等にあわせての「勤務地変更制度」、年間10人前後が雇用されている退職者再雇用制度など充実した制度が整っている。
6位は第一生命保険ホールディングス1143人(うち女性が1007 人)。 妊娠中および出産後1年以内の女性職員が体調不良や健康診査等の通院が必要な場合、1カ月につき5日のマタニティ休暇を認めている。
以下、7位ファーストリテイリング1007人(未回答、CSR報告書等からの情報)、8位東京海上ホールディングス860人(取得率99.7%)、9位SOMPOホールディングス831人(同99.6%)、10位明治安田生命保険810 人(同95.9%)と続く。

上位10社のうち、銀行・生保の金融機関が8社を占める。女性従業員が多い金融機関は中堅の貴重な働き手として「子育てママ」が不可欠な存在になっていることが伺える。
30代従業員数等との比較に着目
さて、各社で育児休業取得者の存在感を知るのに有効なのが、子育て世代がもっとも多い30代従業員数等と比較した取得者の比率を見ることだ。たとえば、2位日本生命は30代女性の10%程度が常に育児休業を取得していると予想できる。こうした職場であれば、「育児休業が取得しにくい」ことはないだろう。世代別人数との対比で取りやすい会社であるかの判断ができそうだ。
ただ、現状の『CSR企業総覧』のデータでは、持ち株会社などで育児休業取得者と世代別従業員数の対象会社が異なる場合もある。これをできるだけ同じ基準で掲載できるよう次年度以降、考えていきたい。